✓ 全館冷房を成功させる方法を知りたい
✓ 全館冷房って、実際どのくらい快適なの?
✓ 夏の夜、エアコンを切ると寝苦しい。夏もぐっすり快眠したい
全館冷房とは、空気と冷房の特性を組み合わせて、室内が適温・適湿で快適に過ごせる空調コントロールの手法です。
冷房と言いつつ、実は「除湿」がカギです。
本記事では、その仕組みと、誰でもできる具体的な3つのステップを解説しています。この記事を読むと、全館冷房を成功させる方法が超簡単・シンプルにわかるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
全館冷房にしてから、真夏に毎日、グッスリ快眠できるようになり、超快適です。夏のリビングは、一日中、室温26℃・相対湿度40%くらいです。

エアコン1台での全館冷房とは?基本的な仕組みと実現できる理由
室内の快適性は、室温だけでなく湿度が大きく関係しています。不快指数でも表されるとおり、湿度が高いと、ベタベタして非常に不快のため、湿度を下げる必要があります。
湿度を下げる方法は、除湿ではなく、冷房が最強です。
冷房を使い続けると、寒くなりますよね。そこで、「除湿モード」は、一定程度、除湿をしたら送風にする、というモードです(エコにもなる)。
ただ、除湿モードだと、途中で除湿が止まってしまいますよね。
そこで使うのが「冷房機能」なんです。
次のセクションでは、エアコンの冷房がどのくらい除湿できるか解説します。
エアコンによる1日の除湿量計算式

エアコンの冷房は、1日30リットル以上の除湿が可能です。そして除湿器と違ってタンクに溜まった水を捨てる作業も不要です。
大きめの除湿器でも20リットルは無いです。
エアコンによる除湿量の計算式:除湿量[kg/h] = 空気密度[kg/m³] × 風量[m³/h] × 絶対湿度差[kg/kg]
✓ 一般的な10畳用エアコン(2.8kW)の場合
- エアコンの風量: 約600m³/h
- 空気密度: 約1.2kg/m³
- 絶対湿度差: 約2.05g/kg
- 27℃60%の室内空気を16℃100%まで冷やした場合
→1.2[kg/m³]×600[m³/h]×0.00205[kg/kg]=1.48kg/h≒1.48L/h×24h=35.4[L/日]
ただし、高気密・高断熱住宅だからこそ、エアコン1台で全館冷房が可能になります。一般的な住宅では外気の影響を受けやすく、せっかく除湿した空気もすぐに外からの湿気で台無しになってしまいます。
次のパートでは、全館冷房のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
全館冷房のメリット・デメリット徹底解説
エアコン1台で家全体を冷やす全館冷房は、健康・経済・生活の質、すべての面で大きなメリットがあります。
- 健康面:湿度を60%以下に保つことでダニ・カビが減少
- 経済面:エアコン購入の初期費用が大幅ダウン。将来のために配管用スリーブだけ開けておく
- 生活の質:夏の寝室は非常に快適。洗濯物の室内干し乾きやすい
全館冷房の最大の魅力は、家中どこにいても快適な環境で過ごせることです。これにより、家族の健康維持、経済的な節約、そして生活の質が劇的に向上します。
ただし、全館冷房を成功させるためにはいくつかのポイントがあります。効果を最大化するには初期設計が重要です。
次のパートでは、全館冷房を成功させるための具体的な3ステップをご紹介します。
エアコン1台で全館冷房を成功させるための3ステップ
エアコン1台で家全体を快適に冷やす全館冷房。実は成功のカギは3つのポイントと確認方法にあります。これから家づくりを考えている方は、ぜひこの3ステップを参考にしてください。
ステップ1:エアコン設置場所の最適解

全館冷房の成功は、エアコンの設置場所で8割が決まります。
- 2階の階段ホールが最適:冷気は下に流れる性質があるため、2階の階段ホールや吹き抜けの上部に設置
- 人に直接風が当たらない場所:24時間運転するため、エアコン周辺は寒くなるため、LDKへの設置は避けるべきです
実際の成功事例では、「2階の階段ホール」や「吹き抜け上部」にエアコンを設置することで、32坪の家でも8畳用エアコン1台で全館冷房を実現できています。
ステップ2:エアコンの必須(風量・設定温度)

全館冷房のポイントは「除湿」にあります。そのためのエアコン設定は以下の通りです。
- 設定温度:23℃前後:一般的な設定(27〜28℃)より低めに設定
- 風量:最小(弱):風量を絞ることで、冷えにくく、冷房(=除湿)が稼働し続ける
- 風向き:下向き:冷たい空気を下に流すことで、暖かく湿った空気を、上から取り込む
この「低温微風設定」が全館冷房の鍵です。温度を低く風量を弱くすることで、室温を急激に下げずに除湿効果を高めることができます。
多くの方が「23℃設定は寒すぎるのでは?」と心配しますが、風量を絞っているため実際の室温はそれほど下がりません。これは「室温を下げずに除湿量を増やす」ための設定です。
ステップ3:外断熱(サンシェード)が必須

全館冷房を効率的に行うには、外からの熱を遮断することが重要です。
窓は、最も外からの熱を室内に入れてしまう場所なので、室内が熱くなる原因になります。室内に熱を取り込まないための工夫が必要です。
外付けサンシェード:室内カーテンより、屋外サンシェードの方が遮熱効果が高い
庇:南側の窓には十分な庇を設けることで、夏の直射日光を防ぐ
特に西日が当たる窓には、外付けサンシェードの設置が効果的です。これにより、エアコンの負荷を大幅に減らし、電気代の節約にもつながります。

エアコンが除湿できているか確認する方法
全館冷房が成功しているかを確認する簡単な方法があります。
- 「みはりん坊W」などの絶対湿度計をエアコン吹き出し口に設置
- エアコン吹き出し口の絶対湿度が12g/㎥以下
- リビングの相対湿度が60%以下
みはりん坊Wの絶対湿度がが12g/㎥以下なら十分除湿されています。
全館冷房は、正しい場所にエアコンを設置し、適切な設定で運転し、外からの熱を遮断することで実現できます。
LDKにある温湿度計は、外気も測れると、外出する前に便利なのです。
全館冷房に最適なエアコン選び
全館除湿は、ただ単に「パワーの強いエアコン」を選ぶだけではダメです。ここでは、全館冷房に最適なエアコン選びのポイントを解説します。
全館冷房に適したエアコンの種類と性能(再熱除湿機能の重要性)
全館冷房で最も重要なのは、冷房し続けることですが、それでは寒くなりすぎてしまうケースに対応できるのが「再熱除湿機能」付きのエアコンです。
一度空気を冷やして湿気を取り除いた後、再び空気を温めて室内に戻す機能です。
全館冷房を設置できる場所がLDKしかない、といった場合は、寒くなりすぎてしまうので、再熱除湿機能を使えば、寒くなりすぎません。
一方で、、電気代は高くなる、というデメリットがあります。
高気密高断熱住宅では性能が良いため、通常の除湿モードだと室温がすぐに下がりすぎてしまい、エアコンが「サーモオフ」状態になります。すると除湿が止まって湿度が上昇し、不快な状態になってしまいます。
再熱除湿機能は、冷やした空気を温めてから室内に空気を送り込むので、寒くなりすぎないというメリットがある一方で、電気代が高くなるというデメリットがあります。
寒くなりすぎることも想定し、念のため再熱除湿機能が付いている機種がオススメです。
必要な冷房能力の計算方法(家の広さ×断熱性能)
エアコン選びで失敗しないためには、適切な冷房能力(kW)を選ぶことが重要です。
結論、100㎡程度であれば、(10畳用)程度のエアコン1台で十分です。
必要な冷房能力(kW)= 住宅の延床面積(㎡)×単位熱負荷(W/㎡)÷1,000
- 高気密・高断熱住宅:約80〜100W/㎡
- 一般的な住宅:約160〜180W/㎡
- 断熱性能の低い住宅:約230〜290W/㎡
100㎡×90W/㎡÷1,000=9kW(理論値の約70%程度(6.3kW)が必要)
→ 2.8kW(10畳用)程度のエアコン1台(6kW程度の出力が可能)で可能
一般的な住宅では同じ広さでも14kW(4〜5台分)必要になることがあります。高気密・高断熱住宅やマンションだからこそ、エアコン1台での全館冷房が実現可能です。
サーキュレーターの活用法
全館冷房の効果を最大化するには、サーキュレーターの活用が効果的です。
- 2階建ての場合は、1階の階段付近に設置し、冷気を1階に循環させる
- 首が下向きに調整(階段上から下へ空気を流す)
- ACモーター搭載型(静音性が高く、弱いパワーで長時間使用可能)
2階階段上にエアコンを設置した場合、階段下にサーキュレータを置くことで、冷えた空気を1階に満遍なく行き届けることが可能です。
全館冷房の季節ごとの使い方と年間スケジュール
全館冷房は季節によって使い方を変えることで、一年中快適な住環境を実現できます。ここでは季節ごとの最適な運用方法をご紹介します。
梅雨時期の除湿運転のコツ

梅雨時期(5月下旬~7月上旬)は、気温が低い=冷房が稼働し続けないことがあるので、エアコンの温度設定が最重要です。
- 設定温度:21~23℃
- 風量:弱(最小)
- 運転モード:除湿(再熱除湿機能付きなら再熱除湿モード)
- 運転時間:24時間連続運転
注意ポイントは、春の間に室内に熱をこもらせないこと。高気密高断熱住宅は、室内に取り込んだ熱を室外に逃がしません。
5月の陽射しが強い時期からサンシェードを使って外断熱することが、快適に過ごすポイントです。

真夏の効率的な運転方法
真夏(7月中旬~9月上旬)は、室温を冷やし過ぎないことがポイントです。
- 設定温度: 23℃
- 風量: 弱~中
- 運転モード: 冷房
- 運転時間: 24時間連続運転
- 追加対策: 日中は外部サンシェードで日射をカット
暑いと思って室温を冷やし過ぎると、サーモオフになりエアコンが止まるので、室温よりも除湿し続けられているか、絶対湿度の観察をしましょう。この時期も、特にサンシェードは必須アイテムです。

中間期(春・秋)の快適な使い方
春(3月~5月上旬)と秋(9月中旬~11月)は外気温が快適なことが多い時期です。
中間期は外気と室内の温度差が少ないため、エアコンをつけずに窓を開けて過ごしてもOKです。
我が家は、全館空調にもかかわらず、妻が外気を取り込みたいという理由で窓全開の日があります…。
まとめ:エアコン1台で全館冷房を成功させる3つの必須アイテム
エアコン1台で全館冷房を実現するには、「除湿」がカギです。そのために必要な3つの必須アイテムをご紹介しました。
- 絶対湿度計「みはりん坊W」:エアコンが本当に除湿できているかを確認。エアコン吹き出し口の絶対湿度が12g/㎥以下であれば成功。
- 首振り機能付きサーキュレーター:特に下向きに調整できるACモーター搭載型がおすすめ。
- 外付けサンシェード:窓からの日射熱を遮断し、エアコンの負担を大幅に軽減。内側のカーテンより2〜3倍の遮熱効果があり、電気代の節約にも直結します。
これら3つのアイテムを活用すれば、エアコン1台でも家全体を快適な環境に保ちながら、省エネも実現できます。ぜひ参考にしてみてください。
