梅雨時期になると部屋がジメジメして不快…
でもエアコンの除湿を使っても効果がイマイチ
どうやったら効率よく除湿できるの?
梅雨や夏の高温多湿の季節、エアコンの除湿機能を使っているのに「なぜか部屋がジメジメしたまま」と感じたことはありませんか?
「除湿」と聞くと、除湿機を思い浮かべるかもしれませんが、エアコンの冷房の方が圧倒的に除湿量が多いですよ!
エアコンの除湿機能は実は冷房と同じ仕組みで動いており、空気を冷やして水分を結露させることで湿度を下げています。しかし「除湿」ボタンを押すだけでは効果が限定的なケースが多いのです。
この記事を読めば、エアコン除湿の本当の仕組みが分かり、湿度を効果的に下げる正しい使い方をマスターできます。さらに「なぜ除湿より冷房の方が効く場合が多いのか」ということも理解できるので、ぜひ最後まで読んでいってください!
エアコンはどうやって除湿している?基本の仕組み

エアコンの除湿機能は、実は冷房と全く同じ仕組みで動いています。どちらも「空気を冷やして水分を取り除く」という物理法則を利用しているのです。
この基本原理を理解すれば、なぜ多くの場合「除湿」より「冷房」の方が効果的なのかが見えてきます。
冷房と除湿の違いをカンタン解説
エアコンの除湿機能と冷房機能は、根本的には同じ仕組みで動いています。どちらも「空気を冷やして湿度を下げる」という同じ物理現象を利用しています。
実は「除湿」と「冷房」の違いは、単にエアコンの制御方法が異なるだけなのです。多くのエアコンの「除湿」機能は「弱冷房除湿」と呼ばれ、冷房運転を弱めて断続的に行うことで、室温をあまり下げずに湿度だけを下げようとします。
しかし、物理法則上は「空気をしっかり冷やす」ほど除湿効果は高まります。そのため、本格的に湿度を下げたい場合は、通常の冷房運転の方が効果的なケースが多いのです。
空気が冷えると水滴が生まれる仕組み
空気中の水分が水滴になる現象は「結露」と呼ばれ、これがエアコン除湿の核心です。
空気が水分を保持できる量(飽和水蒸気量)は温度によって決まります。
- 30℃の空気:1㎥あたり約30gの水分を保持可能
- 20℃の空気:1㎥あたり約17gの水分を保持可能
- 10℃の空気:1㎥あたり約9gの水分を保持可能

つまり、30℃で湿度70%(約21gの水分を含む)の空気を10℃まで冷やすと、保持できるのは9gだけなので、残りの12gは水滴となるため、空気中の水分が減るのです。
これが「空気を冷やすと湿度が下がる」という物理法則の正体です。梅雨時に窓ガラスに水滴がつくのも、冷たいペットボトルの表面が濡れるのも、すべて同じ原理なのです。
エアコン内部で起きている「結露」が除湿の正体
エアコン内部では、室内機の熱交換器で、上に紹介した結露現象が起きています。
- 室内の湿った空気がエアコンに吸い込まれる
- 冷たい熱交換器(約5〜10℃)を通過する際に急冷される
- 空気中の水分が結露して水滴になる
- 水滴はドレンパンに集められて排水ホースから外に排出される
- 乾いた空気だけが室内に戻される
この過程で、エアコン1台で1日に約30リットルもの水を室外に排出することもあります。これが「除湿」の正体なのです。
ただし、多くの「弱冷房除湿」では設定温度に達すると冷却を停止し、単なる送風運転に切り替わります。このとき、室内の湿った空気をそのまま循環させるだけになるため、除湿効果が大幅に低下してしまうのです。
湿度の基礎知識 – 絶対湿度と相対湿度の違い
湿度には「相対湿度」と「絶対湿度」という2つの概念があります。エアコンの除湿機能を理解するには、この違いを知ることが重要です。実は天気予報で聞く湿度と、実際に体が感じる湿度は異なるものなのです。

相対湿度とは?温度によって変わる「湿り具合」
相対湿度とは、空気が含むことができる最大水蒸気量(飽和水蒸気量)に対する、実際に含まれている水蒸気量の割合です。
- 天気予報で「湿度60%」と言うのはこの相対湿度のこと
- 「その温度で空気が持てる最大の水分量の60%が含まれている」という意味
- 同じ水分量でも、温度が上がると相対湿度は下がる
- 温度が下がると相対湿度は上がる(同じ水分量でも)
例えば、30℃の空気の飽和水蒸気量は約30g/m³なので、18g/m³の水分を含む場合の相対湿度は60%となります。
絶対湿度とは?実際の水蒸気量を表す指標
絶対湿度とは、空気1m³あたりに含まれる水蒸気の質量(g)で表される値です。
- 単位は「g/m³」で表される
- 温度に関係なく、実際の水分量を示す
- エアコン除湿の効果は、この絶対湿度が減ったかどうかで判断すべき
- 体感的な蒸し暑さは絶対湿度に大きく関係している
例えば、30℃で相対湿度60%の空気の絶対湿度は約18g/m³、10℃で相対湿度60%の空気の絶対湿度は約5.6g/m³となります。
同じ70%でも全然違う!温度による湿度感覚の変化
同じ相対湿度でも、温度によって含まれる実際の水分量(絶対湿度)は大きく異なります。
温度 | 相対湿度 | 絶対湿度 | 体感 |
---|---|---|---|
30℃ | 70% | 約21g/m³ | とても蒸し暑い |
20℃ | 70% | 約12g/m³ | やや湿っぽい |
10℃ | 70% | 約6.6g/m³ | ほとんど湿気を感じない |
これが「冬は湿度70%でも快適なのに、夏は湿度70%だと不快」と感じる理由です。エアコンの除湿は、この絶対湿度を下げることが目的なのです。
実は「除湿」ボタンを押すより「冷房」で温度を下げた方が効果的に絶対湿度を下げられることが多いのです。
エアコンの除湿はコンプレッサー式除湿

エアコンの除湿機能は「コンプレッサー式」と呼ばれる方式を採用しています。これは家庭用エアコンのほぼすべてに共通する仕組みで、冷房と同じ原理で湿度を下げています。
この仕組みを理解すれば、なぜエアコンの除湿が効きにくい場合があるのかも分かります。
コンプレッサー式除湿の基本原理
コンプレッサー式除湿は、冷却と結露を利用した除湿方式です。このコンプレッサー式除湿には主に2種類あります。
弱冷房除湿
- 冷房運転を弱めて断続的に行う方式
- 室温が下がりやすい
- 設定温度に達すると送風運転に切り替わる(サーモオフ)
- 一般的なエアコンの「ドライ」モードはこれ
- 気温が低い環境(20℃以下)では除湿効率が落ちる
再熱除湿
- 冷やして除湿した乾いた空気を再び温めて室内に戻す方式
- 室温をあまり下げずに除湿できる
- 電気代は高いが、肌寒さを感じにくい
他の除湿方式との違い
コンプレッサー式以外の主な除湿方式との違いは以下の通りです。
除湿方式 | 仕組み | 特徴 |
---|---|---|
コンプレッサー式(エアコン) | 冷却・結露 | 高温多湿に強い室温が下がる |
デシカント式(吸湿材) | 吸湿材で水分吸収 | 低温でも効果あり発熱する |
ペルチェ式(電子冷却) | 電気で冷却・結露 | 小型・静音除湿力は弱め |
エアコンのコンプレッサー式は、特に夏場の高温多湿環境で効果を発揮します。しかし冬場の結露対策には、デシカント式除湿機の方が適している場合もあります。
知らないと損する!除湿機能の意外な落とし穴

エアコンの除湿機能は便利ですが、意外な落とし穴があります。「除湿なのに部屋がジメジメする」「湿度が下がらない」といった経験はありませんか?
実はエアコンの除湿機能には知っておくべき重要な欠点があるのです。
なぜ除湿なのに部屋がジメジメする?送風切替の問題点
多くのエアコンの除湿機能(弱冷房除湿)には、大きな問題点があります。
- 設定温度に達すると冷却を停止し、送風運転に切り替わる(サーモオフ)
- 送風運転中は空気を冷やさないので、除湿効果がゼロになる
- 部屋の温度が設定値より1〜2℃高くなるまで冷却を再開しない
- この間、湿度は下がらずジメジメ感が続く
例えば、設定温度26℃で除湿運転中、室温が26℃になると冷却が止まります。室温が27〜28℃に上昇するまで単なる送風状態が続くため、この間は湿度が下がらないのです。
湿った空気をそのまま循環させてしまう「逆効果現象」
送風運転中に起こる「逆効果現象」は、除湿の大敵です。
- 送風運転中は湿った空気をそのまま室内に循環させる(サーモオフ)
- 特に梅雨時など外気湿度が高い時期は効果が薄い
- 洗濯物や観葉植物からの水分も室内に広がる
この現象は特に「弱冷房除湿」モードになりやすく、注意が必要です。
リモコンの温度表示で勘違いしやすい設定方法
特に注意したいのは、多くのエアコンでは除湿モードの温度設定は「目標室温」ではなく「冷却と送風の切替温度」を意味することです。
そのため、設定温度を下げると除湿効果は高まりますが、室温も下がりやすくなります。
次のセクションでは、冷房で除湿をし続けるテクニックをご紹介します。
正しい除湿テクニック
エアコンで効果的に湿気を取り除くには、意外にも「除湿」ボタンよりも「冷房」機能を上手に使う方が効果的です。ここでは、本当に効果的な除湿テクニックをご紹介します。
実は冷房の方が効く!上手な冷房機能の使い方3つのコツ

多くの場合、「除湿」より「冷房」の方が効果的に湿度を下げられます。その理由と具体的な使い方を紹介します。
- エアコンは家族が常駐しない「家」の高い位置へ(我が家は階段上)
- 設定は「冷房」で22~23℃
- 風量は「最弱」
エアコンの引き出し口の空気が、絶対湿度で9g~12gになっていれば、十分除湿できている証拠です。

本当に再熱除湿が必要なのはこんなとき
再熱除湿は電気代が高いデメリットがありますが、もし、どうしても「家族がいない、家の高い場所にエアコンを設置できない」という場合には、再熱除湿の機能が役に立ちます。
- リビングにあるエアコンで除湿したい
- 梅雨時の肌寒い日(気温20〜25℃で湿度が高い日)
- 赤ちゃんや高齢者がいる部屋(急な温度変化を避けたい)
梅雨・夏に室内の湿度が低いと、本当に体が楽です。夜、ぐっすり眠れます。
仮に再熱除湿機能を続けて光熱費が上がったとしても、体調不良になったほうが余程、高額になります。この快適さ、イライラしない、ベタベタしないことを考えれば、十分安いと思います。
まとめ:エアコン除湿の仕組みを理解して快適な湿度管理を
エアコンの除湿機能は、空気を冷やして結露させることで湿度を下げる「コンプレッサー式」の仕組みを採用しています。
この記事で解説したように、除湿と冷房は基本的に同じ原理で動いており、多くの場合「除湿」ボタンよりも「冷房」で設定温度を下げる方が効果的です。
- 設定温度を22〜23℃にすることで「サーモオフ」を防ぎ、連続運転させる
- 風量は「弱」に設定して冷えすぎを防ぎながら除湿効果を維持する
- サーキュレーターを併用して乾いた空気を部屋全体に循環させる
また、絶対湿度と相対湿度の違いを理解することで、なぜ同じ湿度表示でも季節によって体感が異なるのかも分かります。快適な室内環境は温度26〜28℃、湿度50%以下が目安です。
エアコンの除湿機能の仕組みを理解して、効果的に活用することで、ジメジメした夏も快適に過ごしましょう!
