空間活用

【一条工務店】間取りアイデア集〜各部屋別の成功する設計ポイント〜

生活動線を考えた良い間取りが思いつかない

家族の成長に合わせた間取り作りはどうすればいい?

建築会社からは一般的な提案しかもらえない

注文住宅の間取り設計は、決めることが多く、自分たちにとって何がベストかわかりにくいですよね。

本記事では、音・空調・窓の基本設計から、LDK・寝室・子ども部屋まで、各部屋別の設計について、特に注目すべきポイントに絞って解説しています。

理想の住まいは、ただ広いだけでも、見た目が良いだけでもありません。家族の暮らしを豊かにする機能的な間取りこそが、本当の意味で価値ある住まいです。

あなただけの理想的な間取り設計に気づくポイントを網羅したので、ぜひご覧ください!

全部屋共通

家全体の間取り設計において、全部屋共通する重要な3つのポイントを解説します。

住宅の快適さは音環境で大きく左右されます

音は空気の振動として直進性を持って伝わります。効果的な対策が快適な住環境を作ります。

  • 空洞部分への対策:上下階の音は、天井と床にある空洞を埋めることで軽減可能。
  • 扉による遮断:空気は音の振動なので、扉を1枚多く設置することで、音の伝わりを大幅に抑制可能。
  • 間取りによる分離:音は直進性があるので、LDKと各部屋の扉の向きを変える(向き合わせない)ことも効果的。

例えば、1階の天井と2階の床の間に、グラスウールやウレタンなどの吸音材を詰め込み、振動を窮するする方法もあれば、構造の間に「音パット」といった補強材を入れて振動を減らす方法も、さらには、2階床に遮音マットを施工するなど、様々な方法があります。

空調

快適な室内は、室温+湿度が決め手です。そして、室温と湿度はエアコンによってコントロールが可能です。

空気の性質を理解した設計で、エアコンの設置位置を決めることで、効率的な温湿度管理が可能になります。

  • 空気の流れの特性:冷たい空気は下に、暖かい空気は上に移動
  • エアコン設置の高さ:エアコンを高い位置に設置すると、暖かい空気を吸い込むことで常時稼働が可能
  • 空気の循環:気温を下げずに、エアコンで除湿し続けることで、適温でカラッとした環境を実現

2階階段上にエアコンを設置し、最低風量×低設定温度×常時稼働で、梅雨も夏も、24時間、室温24℃・湿度40%の環境を作ることが可能です。

窓・日射熱

全館冷房・室内環境には、窓の配置と日射対策が必須です。

窓は壁に比べ、ダントツに断熱性が低いため、適切な設計が必要です。

  • 日射熱の影響:夏の直射日光は、コタツ1台分の稼働と同程度のエネルギーに相当。
  • 庇の効果:庇の設置で、夏は日差しを遮り、冬は太陽光の取り込みが可能。
  • 外断熱:サンシェードの設置による外断熱が最も効果的。

南向きの窓に庇を設けることで、夏の強い日差しを遮りながら、冬の暖かい日差しを室内に取り込むことができます。東西の窓にサンシェードは必須です。

設計時に、外壁にサンシェードを設置するためのアイプレートを設置しておくことがオススメです。

季節によって変わる太陽高度を利用した設計をすることで、夏も冬も快適な室内を実現できます。

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LDK

適切なLDKの広さは、家族の人数によって目安があります。広ければ快適なわけではないことに注意しましょう。

家族人数推奨LDK広さ目安(㎡)
2人家族9〜12畳15〜20㎡
3人家族13〜16畳21〜26㎡
4人家族17〜20畳28〜33㎡
5人家族21〜24畳35〜40㎡

家族構成や生活スタイルによって必要な広さは変わりますが、この表を参考に、余裕を持った空間計画をすることで、長く快適に過ごせる住まいになります。

動線

動線設計は、日々の家事の負担が軽減されたり、家族間のコミュニケーションが円滑になったりと、非常に重要な設計ポイントです。上手く設計できれば、日々の家事が楽になります。

動線の種類
  • キッチン動線
  • 洗濯動線
  • 帰宅動線
  • 来客動線
  • トイレ動線
  • 就寝動線などなど

例えば、テレビを見るリビングから冷蔵庫までの距離が遠すぎると、飲み物や軽食を取りに行く際に不便を感じます。かといって近すぎるとキッチンの炊事音がテレビ視聴の妨げになることも。3〜5mの距離が、利便性と音のバランスが取れた理想的な配置です。

「生活動線」というと、キッチンや洗濯がフォーカスされがちですが、入居後の生活をイメージすることが非常の大切です。

照明設計

配線が関係する照明も、あとで変更が大変な設備の一つです。空間の雰囲気を決める照明は後から変更できる設計がおすすめです。

照明のテクニック
  • ダクトレール照明:レール上でライトの位置や向きを自由に変更可能
  • コーブ照明:天井と壁の境目に光源を隠し、やわらかな間接光で空間を明るく
  • コーニス照明:壁の上部に取り付け、天井を照らして広がりを演出

明かりだまりを作ったところ、明かりの切れ目にソファーを置くことになり、ソファーで本を読むには暗くなってしまいました…

ダクトレール照明を採用すれば、家具の配置に合わせてライトの位置や角度を簡単に調整できるので、空間の使い方が変わっても最適な明るさを保てます。

天井に取り付けたレールに沿って照明器具を移動させるだけなので、専門知識がなくても調整可能です。

また、コーブ照明やコーニス照明などの間接照明を組み合わせることで、直接照明では得られない柔らかな空間演出も可能になります。これらの間接照明は天井や壁に光を反射させるため、目に優しく、リラックスした雰囲気を作り出せます。

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固定家具と置き家具

年齢や子どもの成長によって生活のスタイルは変わります。造作テーブルやLDK横の小上がりは、「自分が高齢者になっても子どもが巣立っても使うのか?」という検討をしましょう。

チェックポイント
  • ニッチは一生メンテナンスを続けるのか?
  • そこに本棚は永久的に必要なのか?
  • リビング学習はいつまで必要なのか?

子どもが小さいうちは遊びのスペースが必要ですが、成長すると学習机が必要になり、さらに大きくなると自分の部屋で勉強するようになります。また、ピアノや習字など習い事のスペースも一時的に必要になることがあります。

LDKには、造り付けの机ではなく移動可能な家具を選ぶことで、子どもが成長した後は別の用途に活用できます。

置き家具で対応できる部分は無理に造り付けにせず、ライフスタイルの変化に合わせて柔軟に対応できる設計を心がけましょう。

キッチン間取りのコツ

それぞれの家庭で理想のキッチンは変わってきます。

  • 本格的に料理に集中したい
  • とにかく効率的に食事を作りたい
  • 来客と一緒にクッキングをしたい

ここでは、代表的なキッチンタイプのメリット・デメリットを解説し、あなたの家族に最適な選択をサポートします。

アイランドキッチン

アイランドキッチンの最大の魅力は、オープンな空間設計により、料理をしながら家族との会話を楽しめる点です。また、周囲からアクセスできるため、複数人での調理も快適です。

独立した作業台が特徴の開放的なキッチン
  • 四方からアクセス可能な独立型デザイン
  • 調理中も家族と会話しやすい開放的な空間構成
  • 動線が良く、ダイニング・リビング・冷蔵庫・パントリーまで最短ルートを設計可能

設置には最低でも3m×4m程度のスペースが必要で、コンパクトな住宅には不向きです。また、油はねや調理中の匂いが広がりやすいというデメリットもあります。

L型キッチン

L型キッチンは、限られたスペースでも効率的な動線を確保できる点が魅力です。コーナー部分を活用することで、収納力も高められます。

コーナーを活用した効率的な作業動線が特徴
  • 二方向の壁を利用した省スペース設計
  • シンク、コンロ、冷蔵庫の理想的な三角形動線
  • コーナー部分の収納活用で収納力アップ

8〜10畳程度のスペースがあれば設置可能で、中小規模の住宅に適しています。デメリットは、コーナー部分の収納が使いにくくなりがちな点と、対面式にしない場合は家族との会話がしづらくなる点です。

ペニンシュラキッチン

ペニンシュラキッチンは、アイランドキッチンの開放感とI型キッチンの効率性を兼ね備えています。突き出た部分をカウンターとして活用すれば、家族との会話や子どもの宿題スペースとしても使えます。

半島のように突き出した形状で開放感と機能性を両立
  • 片側が壁に接し、もう片側が開放された半独立型
  • アイランドより省スペースで同様の開放感を実現
  • カウンター部分を家族の団らんスペースとして活用可能

必要スペースはアイランドより少なく、中規模住宅に適しています。デメリットは、突き出た部分が通路の妨げになる可能性がある点です。

U型キッチン

U型キッチンは、三方向に作業台と収納があるため、最小限の移動で調理ができる効率的な設計です。収納力も抜群で、調理器具や食材をたっぷり収納できます。

三方を囲まれた効率的な作業空間が特徴
  • 三方向の壁を活用した最大の作業効率
  • 豊富な収納スペースで調理器具をすっきり収納
  • 調理に集中できる独立した空間構成

設置には最低でも2.5m×3m程度のスペースが必要で、閉鎖的になりがちなため、対面式にするなどの工夫が必要です。

セパレート型(Ⅱ型)キッチン

セパレート型キッチンは、幅1.2m程度の通路を挟んで作業台が向かい合う形状です。限られたスペースでも効率的な作業環境を実現できます。

向かい合わせに配置された効率的な二列型
  • 向かい合わせの作業台で効率的な調理動線
  • 狭い空間でも設置可能なコンパクト設計
  • 複数人での調理に適した作業スペース配分

複数人での調理にも適していますが、通路が狭いと人の行き来がしづらくなるため、最低1.2m以上の通路幅を確保することが重要です。

快適な寝室の間取り設計術

寝室は一日の疲れを癒す大切な空間です。質の高い睡眠を得るためには、ベッドの配置や光・音環境の設計が重要になります。

ここでは寝室設計のポイントを3つの観点で解説します。

部屋の広さとベッドの大きさ

寝室は、ベッドサイズに合った余裕のある通路幅が必要です。ベッドを端に寄せて片側のみの通路が必要なのか、中央に配置して両側に通路が必要なのかによっても必要なスペースが変わってきます。

ベッドタイプ推奨部屋広さ(畳)必要な通路幅
シングル4.5畳(7.5㎡)60cm以上
セミダブル6畳(10㎡)70cm以上
クイーン8畳(13㎡)80cm以上

収納家具を置く際は、開き戸よりも引き出しタイプを選ぶと、スペースを有効に使えます。

寝室にスペースを取れない場合、カプセルホテルようなミニマムな寝室にする方法もありますね

枕の向き

寝室設計の最も重要なポイントは、窓の位置とベッドの配置関係です。

設計ポイント
  • 窓の位置は高くする(朝日の直撃を避ける)
  • 窓の位置は東か南がベスト(朝日が差し込む方角に設置)
  • 窓の位置が北と西にしか付けられない場合、窓は小さくする(西日の日射熱が強く、北側の採光は、窓の大きさに比例しない)

窓は、全面の窓でなくとも光は十分に取り込めます。朝、太陽光を直接顔を照らす必要はなく、ジワジワと明るくすることで、自然な目覚めを促します。

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窓・照明・音

寝室は静かに・安心できる場所にしたいですよね。そのためには、窓の設計が重要です。窓の大きさでプライバシーを、窓の性能で防音を確保できます。

設計のポイント
  • 外からの視線に配慮して窓の位置を決める(高い位置が良い)
  • 調光付きの間接照明にし、スイッチもベッドで操作できる位置に配置
  • LDKと寝室の間に、寝室の扉1枚しかない場合、廊下にも1枚扉を追加する

ウチは、LDKと寝室の間に扉を2枚設置しました。夜、LDKでの会話や、おやつを食べる音などは、全く聞こえなくなりましたよ!

ウォークインクローゼットの間取りアイデア

ウォークインクローゼットについて、設置すべき場所や、必要な広さについて、実用的な設計の3つのポイントを解説します。

設置場所

設置場所は、「何を置くのか」「どんな使い方をするのか」で最適な場所が変わってきます。

最適な位置選び
  • LDK隣接:外出時・帰宅時の着替えがスムーズ。
  • 寝室:季節ごとに使わないものを収納
  • ランドリールーム:タオル・下着からアウターまで収納。

LDKに設置する場合は、来客の目に触れない位置がベターです。

ランドリールーム併設は、乾いた衣類をそのまま収納できる効率性がメリットですが、汚れたアウターとインナーが混ざらないように注意が必要です。

形状

空間の広さに応じた最適なレイアウト選択

形状必要スペース特徴
I型1.2m×2m壁面活用でシンプル収納
II型1.5m×2.5m両側収納で容量2倍
コの字型2m×3m三方収納で最大効率

どの型の場合も、棚板付きのハンガーパイプを2段にするのがオススメです。衣類はロングコートばかりではないはずです。2段にすると収納量が2倍なります。

我が家は2段にして、下のハンガーラックをテーブル替わりに、書斎として活用しています。

書斎スペースの設計ポイント

ひと昔前は大人の隠れ部屋みたいな形で、スペースにゆとりのある場合に作るものでしたが、テレワークが普及した今、テレビ会議や仕事に集中する面から見ても、設置は必須です。

必要なスペース

もっとも小さくしたい場合、3畳から書斎設計が可能です。

機能的な書斎設計
  • デスク+椅子:幅150cm×奥行き75cmが基本
  • 書籍収納:幅180cmの壁面書棚で約300冊収容
  • 移動空間:椅子の後方に80cm以上の余裕

労働安全衛生法では、事務作業を行う従業員一人当たりのオフィス面積は、最低でも10平方メートル(約1.4坪=4.63㎡=2.8畳)以上と定められています。

実用的には3畳(約5㎡)以上が理想的。L型デスクとスライド式書棚の組み合わせが効率的です。

設置場所

テレビ会議をしていると家族の声が入ってしまったり、守秘義務のある情報を扱っている場合などもあるので、独立したスペースが理想的です。

設置パターン
  • 2階独立型:集中作業が必要な専門職向け
  • LDK隣接型:家族の様子を確認しながら作業可能
  • 階段下活用:狭小空間の有効利用

無線LANでも繋がると思いますが、情報のアップロード(上り回線)のスピードが遅いことが多く、有線LANがオススメです。

設計段階からLAN配線やコンセントもセットで設計しましょう。

防音と空調・換気

自宅でテレワークする場合も、安全衛生法上、必要な環境を整えましょう。内閣府が基準やチェックリストを出していますが、大きくは3点です

必要な環境
  • 室温:室温は18℃~28度℃。相対湿度は40%~70%
  • 換気:定期的な換気
  • 照明:精密な作業では300ルックス(Lx)以上、普通の作業では150Lx以上、粗な作業では70Lx以上

遮音性も重要です。壁を補強壁にすることや、吸音材や石膏ボードの2枚貼りなどの方法があります。

LANケーブルを床に這わせて転ばないようにしましょう。筆者の職場では、「頭の上に置いていた空箱が落ちてきて、パソコンにあたり、データが全部消えた」ということもありました。

子ども部屋の間取り設計ポイント

「子ども部屋は、一人最低6畳はあげたい」と思うかもしれませんが、子どもは成長し、巣立っていきます。子どもが子供部屋を使う期間と、巣立った後の期間を考えると、無駄に大きい部屋は不要です。

そんな時オススメするのが、成長過程に合わせて進化する3畳の多機能設計です。最小限のスペースを最大限に活用するアイデアをご紹介します。

将来の変化に対応できる子供部屋設計

子どもの成長に合わせた3畳のコンパクト空間について解説します。3畳+クローゼットがあると便利です。

幼少期(0〜6歳):おもちゃ収納+プレイスペース

壁面全体を利用した棚(高さ120cm以下)で安全性を確保。まだ個別のベッドを置く必要はありません。全体をおもちゃ部屋として活用できます。

学童期(7〜12歳):学習スペース+休息エリア

可動式デスク(幅100cm×奥行き60cm)を窓際に設置。この時期はベッド+本棚やランドセルラックの設置のみでOK。目が悪くならないように、多灯分散照明にしておきましょう。

中高生期(13〜18歳):プライベート空間

ベッド+学習机を設置し、服などは備え付けのクローゼットを利用しましょう。秘密基地みたいで狭い空間がフィットするはずです。

LANケーブルやTVアンテナの設置に加え、コンセントも床から110cmに設置しましょう。学習机の上にコンセントが来ることで、使い勝手が非常に良くなりますよ。

巣立ち後:ウォークインクローゼット/ゲストルーム

子どもが巣立った後はベッドを撤去し、ハンガーパイプ(長さ2m)を設置することでクローゼットになります。また、子どもや孫が遊びに来た時のプレイルームや、お泊り用の寝室にもなり、活用の幅は非常に広いです。

3畳であれば、前面にクッションフロアを設置するのも楽です。

収納スペースの設計

適切な収納設計は、日常のストレスを減らし生活効率を向上させます。ただ収納が多ければいいわけではなく、必要な場所に必要な広さの収納を設置することがポイントです。

必要な収納量の目安

収納率の目安は住宅の延床面積の10〜15%です。

理想的には延床面積の15%以上(できれば20%)の収納スペースを確保することが推奨されています。

必要な収納の具体例
  • 寝具類の収納
  • パントリー
  • シューズクローク
  • 庭道具の収納
  • 子どものおもちゃ収納
  • 掃除用具の収納
  • 洗濯関連アイテムの収納
  • 趣味用品の収納
  • ペット用品の収納
  • AV機器の収納
  • 季節ものの品(ひな祭りや兜など)

また、ミシンやアイロン、非常用備蓄など、収納が必要なものをピックアップしましょう!

動線を意識した収納配置

動線上に必要な大きさの収納を用意しましょう。

生活の流れに沿った3大ポイント
  • 脱衣所 :タオルだけでなく、下着を収納することで、取り出しに便利
  • LDK入口 :アウターや帽子、リュックなどを収納しやすい。LDKが散らかりにくくなる
  • パントリー :シンク・コンロ・冷蔵庫から2歩以内がベスト。帰宅動線上にあると便利。

収納スペースは「物を隠す場所」ではなく、「生活をスムーズにする仕組み」として設計することが大切です。

階段の配置と種類選び

階段は住宅の動線や空間効率を左右する重要な要素です。種類ごとの特徴を理解し、階段下スペースを有効活用することで、機能性とデザイン性を両立させましょう。

階段の種類と特徴

階段の種類特徴メリットデメリット
直線階段一直線でシンプルな形状施工コストが安い長さが必要で広いスペースが必要
折り返し階段踊り場がありL字型に曲がる転落リスクが低い施工費が直線階段より高い
かね折れ階段90度方向転換する2段構成コンパクトな設置が可能大型家具の搬入が困難
らせん階段螺旋状でデザイン性が高い狭いスペースでも設置可能施工費が高く、上り下りがしづらい
スケルトン階段段板のみで開放感のあるデザイン空間を広く見せる小さな子供やペットには不向き

各階段の特徴を理解し、住宅の広さや家族構成に合わせて最適なタイプを選びましょう。

階段下スペースの活用

階段下収納は、取り出しにくい場所だからこそ、使用頻度の低いものを収納するのに最適です。

階段下は形状が特殊で奥行きも深いため、頻繁に使わないものや季節物を収納するのに適しています。

有効な収納例
  • 季節用品:クリスマスツリーや雛人形など、年に1回しか使わないもの
  • アウトドア用品:キャンプ道具やスキー板など普段使わないアイテム
  • 掃除道具:掃除機やモップなど、使用頻度が低いもの
  • 非常用備蓄:トイレットペーパーや屋外用ガスコンロ、救急箱など

階段下収納の設計ポイントは以下の通りです。

  • 引き出し式収納:奥行きの深いスペースでも取り出しやすくなる
  • 棚板可動式:物のサイズに合わせて調整可能
  • 照明付き設計:暗いスペースでも探し物が簡単

例えば、引き出し式収納を採用すれば、奥にしまった季節用品も楽に取り出せます。

階段は移動手段であるだけでなく、空間効率を最大化する重要な要素です。階段下スペースは「隠れた収納力」を活かして設計することで、住まい全体の機能性を向上させましょう。

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廊下スペースの価値

廊下は単なる通路ではなく、住まいの機能性を高める重要な空間です。適切な設計で動線効率と快適性を両立させましょう。

回遊性と動線効率

室内で必要な通路幅は、一人で通るなら80cmあれば問題ありません。一方で、すれ違う可能性が高い通路は、もう少し広い幅が必要です。

  • すれ違い幅:110cm以上(大人2人が楽に通行可能)
  • 車椅子対応:140cm以上の幅を確保
  • 収納併設:30cmの壁面収納を設置しても80cmの通行可能

廊下というと、通路を思い浮かべるかもしれませんが、「壁とキッチンの間」や「ダイニングテーブルとキッチン」の間の回遊性動線は、80cmあればOKです。

洗面台の設置場所

意外かもしれませんが、洗面台の設置場所は、毎日の生活効率が格段に向上するポイントです。

洗面台を設置する場所

帰宅動線・来客動線・就寝動線の3点が重なる場所に設置しましょう。

  • 帰宅動線上:帰宅後、スムーズな手洗いが可能
  • 来客動線上:来客のトイレ動線(トイレ⇔LDK)にあると便利
  • 就寝動線上:寝室とLDKの動線上に設置することで、朝の洗顔、夜の歯磨きがスムーズ

脱衣所や浴室前の設置は、入浴中に歯磨きや手洗いがが出来ないので避けましょう。

特に夏は日中にシャワーの回数も増えます。入浴と手洗い・歯磨きの時間が重なる場面は意外と多いです。

独立脱衣室の機能的な間取り計画

独立脱衣室は、注文住宅を設計するなら取り入れたい間取りです。

建売住宅や賃貸では、高確率で洗面台とセットですが、家族のほかの行動と重なるケースがあります。

洗面台のバッティング
  • 家族の入浴時歯磨きが出来ない
  • 夏、昼の時間にシャワーを浴びると、その間は手洗いもできない
  • トイレのあとに、洗面台まで遠回りしてからLDKに戻らないといけない

独立脱衣所とランドリールームのアクセスを良くすることで、洗濯動線も作りやすくなります。

独立脱衣所に必要な広さ

独立脱衣所は、最低2.2畳(約3.5㎡)あれば、機能的な空間を確保できます。

広さの目安
  • 着替え動作:直径1mの半円空間
  • 洗濯機前面:80cmの作業スペース
  • 洗濯かご2個分:幅60cm×奥行40cm
  • 収納スペース:約0.6畳(1.0㎡)

ただ、1人の場合は2.2畳でもOKですが、小さな子どもがいる家庭や収納を充実させたい場合は、3畳(約5.0㎡)以上あると、より快適に使えます。

ランドリーラックを使えば、省スペースにすることも可能です。

トイレの間取り設計

トイレの場所も非常に重要です。遠すぎても不便ですが、近くても音などのプライバシーも確保したいところです。家族構成と生活動線を考慮した計画が重要です。

トイレの必要数

トイレの個数は、2人家族であれば1つでも良いですが、3人家族以上を想定する場合、家族人数+1が目安です。

トイレの個数の目安
  • 3人家族:2個が推奨(朝の時間帯の競合を防止)
  • 4人家族:2個(最低限)~3個(余裕がある場合)
  • 来客頻度が高い家庭:+1個を追加

夜のトイレを考慮し、寝室と同じ階には、必ず1個を確保しましょう。

設置場所ごとのメリット・デメリット

トイレの最適な位置は、LDKの出口から距離は3mが理想的です。

・近すぎる場合(2m以内):
 - メリット:緊急時のアクセスが容易
 - デメリット:音やにおいが気になる(約30dBの音漏れ)

・遠すぎる場合(8m以上):
 - メリット:プライバシー確保
 - デメリット:夜間の利用が不便

LDKの入り口に扉がある場合はOKですが、扉がない場合は設置を検討しましょう。扉を2重にすることや廊下を挟んだ位置に設置することで、音の緩和に繋がります

窓の高さ・換気扇の高さ

トイレの換気扇は、以下の点に注意して設計しましょう。

空気の性質を利用した換気設計
  • 天井近く:掃除がしにくい。においが顔の前を通過する
  • トイレの後ろ側:掃除は手が届きにくい、冬は足元が寒くなる
  • 清掃:トイレに脚立は置けないので、高い位置の清掃は大変

アンモニアガスは空気より比重が0.59と軽いため、上部に集まる性質があります。換気扇を天井から30cm下げた位置に設置すると、効率的ににおいを排出できます。

設置場所メリットデメリット
天井近くに設置排気機能が高い・においが顔の前を通過
・脚立が立てられず、掃除が困難
下部に設置冬は足元が寒い・排気機能が比較的低い
・奥まっていて、掃除が困難

それぞれにメリットデメリットがあるので、両方のトイレを見学し、自分が納得する位置に換気扇を取り付けましょう。

浴室の間取り設計

浴室は広くとりたいと思うかもしれませんが、滞在時間も短いため、無駄に広くする必要はないです。それよりも湿度によるカビ管理に気を付けましょう。

浴室内の換気扇を使うと、ほぼ確実に換気扇はカビが生えます。

それよりも、浴室外にコンセントを設置し、サーキュレーターで大量の空気を入れることで、浴室は乾きやすくなり、カビの可能性も大きく減ります

まとめ

注文住宅の間取り設計は、家族のライフスタイルや将来の変化を見据えた計画が重要です。本記事では、各部屋の設計ポイントを解説しました。

注文住宅は自由度が高い分、計画段階での工夫が成功の鍵となります。ぜひこの記事を参考に、自分たちにぴったりの住まいづくりを進めてください。

間取り作りが終わっても、次は外構工事や引っ越し、電力会社選びなど、まだまだたくさんやることがあります。やるべきリストをまとめたので、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。

ABOUT ME
こたろー
2019年に一条工務店と契約し、注文住宅の設計・建築に奮闘。 ・夏はカラッと(冷房で寒くない) ・冬は寒くない(暖房でモワッとしない) ・いつでも明るい ・外からの視線も気にならない ・全部屋で高速インターネット ・ほしいものへ最短距離 こんな快適設計のポイントをまとめているサイトがほしかった…、、、 という想いから本サイトを作りました。 目から鱗な情報発信をしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。 >>>詳細はこちらから