注文住宅の間取りって、何から考えればいいの?
家事動線で失敗したくない
収納不足で後悔したくない
私自身、注文住宅を建てる際に数ヶ月間悩み抜き、実際に住んでみて「ここはもっとこうすれば良かった」と感じた経験があります。
この記事では、その経験を踏まえ、注文住宅の間取りで絶対に失敗しないための考え方と、具体的な設計のコツを詳しく解説します。
🎯結論:間取り成功の鍵は「家事動線」「音・光・風の住環境」「将来対応力」。実体験に基づく具体的なコツを押さえれば、初心者でも理想の住まいが実現できる
- 家事動線を最優先で考える – 毎日の生活が格段に楽になる
- 音響設計を軽視しない – 扉2枚設置など、実例に基づく対策が重要
- 収納は「適材適所」が鉄則 – 使う場所の近くに、使う分だけ配置
第1章:【最重要】間取り成功を左右する「3つの基本原則」
原則1:家事動線を最優先に考える
✅なぜ家事動線が最重要なのか?
家事は毎日行うものです。少しの不便さでも、365日積み重なると大きなストレスになります。私の経験上、家事動線の良し悪しが住み心地の8割を決めます。
✅良い家事動線の3つの条件
- 移動距離が短い:キッチン→洗濯機→物干し場の距離を最小限に
- 動線が交差しない:家族の生活動線と家事動線が重ならない
- 両手が塞がっていても移動しやすい:扉の開閉方向や段差に配慮

原則2:収納は「使う場所」に配置する
✅収納計画の成功法則
- キッチン用品:キッチンの近くに
- 洗剤・タオル類:洗面所・浴室の近くに
- 掃除用具:各階に分散配置
- 季節用品:アクセスしやすい場所に

原則3:将来の変化を見据えた可変性
✅変化に対応できる設計のポイント
- 子どもの成長:部屋の分割や用途変更が可能な設計
- ライフスタイルの変化:在宅勤務、趣味の変化に対応
- 高齢化対応:段差の少ない設計、手すりの設置可能性

第2章:【全部屋共通】住み心地を決める「家づくりの土台」
2-1. 音響設計:家族が快適に過ごすための音環境づくり
✅なぜ音が重要なのか?空気の振動と伝わり方
音は空気の振動として伝わります。特に注意すべきは以下の点です:
- 上下階の音:2階の足音は真下に最も響く→断熱材を敷き詰めることで対策
- 隣接する部屋:壁を伝って音が漏れる→補強壁にすることで対策
- 空気の流れ:空気の流れは直進性がある→各部屋の廊下に曲がり角を設計することで対策

✅【実例】我が家の成功例:扉2枚設置の効果
私の家では、LDKと寝室の間に扉を2枚設置しました。具体的には:
- 1枚目:リビング側の扉
- 2枚目:寝室側の扉
- 間に小さな廊下スペース(約1m)

✅その結果:
- 夜遅くにリビングでテレビを見ても、寝室には音がほとんど聞こえない
- 朝の支度の音で家族を起こすことがない
- プライバシーも完全に確保できている
✅生活音を考慮した部屋配置のコツ
| 避けるべき配置 | 理由 | 推奨する配置 |
|---|---|---|
| 寝室の上にトイレ | 流水音が響く | 寝室の上は収納または廊下 |
| リビング真上に子ども部屋 | 足音が気になる | 子ども部屋は端の方に配置 |
| 寝室の隣にキッチン | 朝の調理音で起きる | 間に収納や廊下を挟む |
空気の直進性を考慮するだけで、音の伝わり方が全く変わりますよ!

2-2. 空調・温熱環境:一年中快適な家の作り方

✅全館冷房を最大限に活かす設計とは
現代の住宅では、家全体を一定温度に保つ「全館冷房」が主流です。
✅設計のポイント
- 断熱性能を高める:外気温の影響を最小限に
- 気密性を確保:冷暖房効率を向上
- 空気の循環:冷房は部屋の上部へ設置(暖気は上がり、冷気は下がる)
✅庇(ひさし)の重要性:夏と冬の日差しコントロール
庇は季節による太陽の高度差を利用して、自然に日射をコントロールする重要な役割を果たします。
✅季節による日照角度と窓の役割
- 夏至(6月):太陽高度78度 → 庇で強い日差しを遮る
- 冬至(12月):太陽高度30度 → 室内に暖かい日光を取り込む

2-3. 照明計画:暮らしを豊かにする光の演出
✅なぜ「とりあえずシーリングライト」はNGか
シーリングライト一つだけでは:
- 部屋全体が平坦な明るさになり、立体感がない
- 作業に必要な手元の明るさが不足
- リラックスタイムに明るすぎて落ち着かない
✅【推奨】ダクトレール照明のメリットと活用法
ダクトレール照明ではなく、ダウンライトを我が家の公開:明かりだまりを作ったことで、ソファーや椅子の置き場所に制限が発生
✅ダクトレールのメリット
- 自由な位置調整:照明の位置を後から変更可能
- 複数の照明器具:スポット、ペンダント、間接照明を組み合わせ
- 将来対応:家具配置の変更に柔軟対応
✅部屋の用途に合わせた照明の選び方
| 部屋 | 主照明 | 補助照明 | ポイント |
|---|---|---|---|
| LDK | ダクトレール | ダウンライト、間接照明 | 調光機能必須 |
| 寝室 | ペンダントライト | ベッドサイドランプ | 暖色系推奨 |
| 書斎 | デスクライト | 天井照明 | 目に優しい昼白色 |
| 洗面所 | 蛍光灯 | ミラー照明 | 顔がきれいに見える配置 |
2-4. 階段設計:家の中心をつなぐ重要パーツ
✅リビング階段 vs 独立階段:メリット・デメリット比較
| 項目 | リビング階段 | 独立階段 |
|---|---|---|
| メリット | 家族とのコミュニケーション増加、開放感 | プライバシー確保、音の問題なし |
| デメリット | 冷暖房効率低下、生活音が響く | 廊下スペースが必要、家族の様子が分からない |
| 向いている家庭 | 小さな子供がいる、家族時間重視 | 思春期の子供がいる、プライバシー重視 |
✅安全性とデザインを両立させるコツ
- 手すり:両側に設置し、子供の身長に合わせた高さも検討
- 照明:足元が見えるよう、各段にセンサーライト
- 材質:滑りにくく、メンテナンスしやすい素材選択
✅冷暖房効率に与える影響と対策
リビング階段を選ぶ場合の効率化対策:
- 階段上部にシーリングファンを設置
- 1階と2階で温度設定を変える
- 断熱性能の高いサッシを使用
第3章:【部屋別】間取り設計テクニック
3-1. LDK:家族が集まる中心空間の作り方

✅キッチンの種類の特徴と選び方
I型キッチンの特徴
- メリット:コンパクト、費用を抑えられる、壁付けで作業に集中
- デメリット:作業効率やや劣る、収納量に限界
- 適用場面:狭いスペース、予算重視、料理は一人で行う家庭
L型キッチンの特徴
- メリット:作業効率が良い、収納豊富、ワークトライアングルが理想的
- デメリット:コーナー部分がデッドスペースに、広いスペースが必要
- 適用場面:ある程度の広さがある、料理好きの家庭
対面式キッチンの特徴
- メリット:家族とのコミュニケーション、配膳が楽
- デメリット:油跳ね、においの拡散、コスト高
- 適用場面:家族との時間を重視、来客が多い
✅【動線】ストレスフリーな回遊動線の作り方
回遊動線とは、キッチンを中心として「行き止まりのない動線」のことです。
我が家の成功例:
玄関 → パントリー → キッチン → ダイニング → リビング → 洗面所 → 玄関
この動線により:
- 買い物から調理、配膳、片付けまでがスムーズ
- 家事中でも家族の様子が見える
- 複数人が同時にキッチンを使っても邪魔にならない

✅【家電配置】テレビと冷蔵庫の最適な距離とは?
推奨距離:3m以上
- 音の問題:冷蔵庫のコンプレッサー音がテレビ視聴の妨げ
- 電磁波干渉:相互の電磁波が機器の性能に影響
- 動線確保:冷蔵庫の開閉がテレビ視聴エリアを邪魔しない

3-2. 寝室・子供部屋:プライベート空間の質を高める
✅寝室:睡眠の質を高める科学(音・光・枕の向き)
音環境の最適化
私の実例では、寝室とLDKの間に扉を2枚設置することで、LDKからの音が劇的に減りました。
光環境の設計
- 朝の自然光:東向きの窓で自然な目覚めを促進
- 遮光対策:二重カーテンで完全な暗闇を確保
- 間接照明:就寝前のリラックスタイムに活用
枕の向きと窓の位置関係
理想的な配置:
- 枕を北向きまたは東向きに(風水的にも良いとされる)
- 頭上に窓がこないよう配置:落下物のリスク回避
- 朝日が直接顔に当たらない位置:自然な目覚めを促しつつ、眩しすぎない

✅子供部屋:成長に合わせて変化する将来設計
年齢別の部屋の使い方
- 幼児期(0-6歳): 遊び部屋
- 学童期(7-12歳): 学習スペースの確保、間仕切りで半個室化
- 思春期(13歳〜): 寝室
可変性を持たせる設計のポイント
- 可動間仕切り:将来的に1部屋を2部屋に分割可能
- 独立したコンセント・照明:分割後も各部屋で機能する
- 収納計画:個人用と共用を使い分け
子ども部屋は3畳でもOKです。大きくしてもテレビを設置して籠られるだけ。巣立った後はウォークインクローゼットとして使えます!
3-3. 水回り:清潔で効率的な空間づくり
✅【推奨】独立洗面台のメリットと設計ポイント
なぜ独立洗面台が重要か
- 朝の混雑解消:家族の入浴中でも洗面台を使用可能
- 来客時の配慮:プライベートエリアを見せずに済む
- 衛生面:脱衣所と分離で清潔性向上
設計のポイント
- 洗面台:幅90cm以上で家族2人が同時使用可能
- 収納:洗剤、タオル、化粧品を効率的に配置
- 照明:ミラー両脇から均等に光が当たる配置
我が家では、家族が入浴中に歯を磨けない…ということが頻発しています。
✅トイレ:快適な設計とは
音の配慮:扉が2枚あることで、音は聞こえません(子どもが泣き叫んでいたら、ちょっとだけ聞こえるくらい)

換気扇の高さ:上でも下でもメリットとデメリットがある
アンモニアガスは空気より比重が0.59と軽いため、上部に集まる性質があります。換気扇を天井から30cm下げた位置に設置すると、効率的ににおいを排出できます。
| 設置場所 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 天井近くに設置 | 排気機能が高い | ・においが顔の前を通過 ・脚立が立てられず、掃除が困難 |
| 下部に設置 | 冬は足元が寒い | ・排気機能が比較的低い ・奥まっていて、掃除が困難 |
✅浴室:浴室換気扇は使わない
浴室換気扇はカビると清掃が超大変なので使いません。サーキュレーターを送り込むことで、夏は全館冷房の常時稼働に、冬は加湿として活用できます。
浴室入り口にコンセントを設置しておきましょう。

第4章:【収納計画の完全ガイド】散らからない家の作り方
4-1. ウォークインクローゼット(WIC)の徹底活用術

✅【実例】我が家のアイデア:2段ハンガーと書斎スペース
我が家では、ウォークインクローゼットを収納と書斎の複合スペースとして活用しています。
具体的な配置
- 上段(高さ160cm〜200cm): クリスマス関連や空き箱など
- 中段(高さ80cm〜160cm): 普段着のハンガー収納、デスクスペース
- 下段(床〜高さ80cm): 引き出し収納、季節外の衣類
この配置のメリット
- 効率的な空間利用:縦の空間を無駄なく活用
- 集中できる書斎:扉を閉めれば完全個室
- 散らからない仕組み:使う場所で片付けまで完結
✅収納効率を最大化する内部設計
| エリア | 収納するもの | 設計のコツ |
|---|---|---|
| ハンガーエリア | 上着、ワンピース、スーツ | 2段式で収納量2倍 |
| 引き出しエリア | 下着、靴下、Tシャツ | 見える化で選びやすく |
| 棚エリア | バッグ、帽子、アクセサリー | 高さ調整可能な可動棚 |
| デスクエリア | PC、書類、文房具 | 配線処理とコンセント確保 |

4-2. 適材適所の収納計画【具体例】
✅玄関:靴、傘、アウター、宅配物までスッキリ
設計のポイント
- 靴収納:家族人数×5足分のスペース
- 傘立て:濡れた傘の水滴対策
- アウター掛け:コート、ジャケットの一時保管
- 宅配ボックス:在宅時・不在時両方に対応
✅キッチン:食器、調理器具、食材を機能的に配置
高さ別の使い分け
- 上段(目線より上):軽いもの、使用頻度の低いもの
- 中段(目線の高さ):毎日使う食器、調味料
- 下段(腰より下):重いもの、大型調理器具
✅洗面所:タオル、洗剤、化粧品を使いやすく
ゾーン別の整理
- 洗面台下:洗剤、掃除用具(湿気対策必須)
- 鏡裏:歯ブラシ、化粧品(毎日使うもの)
- リネン庫:タオル、着替え(清潔な状態で保管)
第5章:【最終判断】後悔しないための家具・設備選び
5-1. 固定家具 vs 置き家具:どちらを選ぶべきか?
✅固定家具のメリット・デメリット
メリット
- 空間の有効活用:天井まで無駄なく使える
- 統一感:部屋全体のデザインに調和
- 地震対策:倒れる心配がない
- オーダーメイド:部屋にぴったりのサイズ
デメリット
- 将来の変更困難:レイアウト変更ができない
- 修理・交換が大変:故障時の対応が複雑
- コスト高:初期投資が大きい
- 引っ越し不可:持ち出し不可
我が家の選択と、その理由
| 場所 | 選択 | 理由 |
|---|---|---|
| キッチン | 固定 | 配管・配線が複雑、長期使用確実 |
| 洗面所 | 固定 | 湿気対策、サイズ調整が重要 |
| リビング | 置き家具 | 模様替えを楽しみたい |
| 子ども部屋 | 置き家具 | 成長に合わせて変更が必要 |
| 書斎 | 置き家具 | 用途変更の可能性あり |

判断基準のチェックリスト
- ☐ 10年後も同じ用途で使うか?
- ☐ 家族構成の変化はないか?
- ☐ メンテナンス性は十分か?
- ☐ 初期費用は妥当か?
- ☐ 将来の売却時に価値があるか?
第6章:間取り決定前の最終チェックリスト
家事動線の最終確認
☐ キッチン→洗面所:5歩以内で移動できる
☐ 洗濯機→物干し場:雨の日でも楽に移動できる
☐ 各部屋→掃除用具:どの部屋からも取り出しやすい
☐ 玄関→キッチン:買い物袋を運びやすい動線
☐ 回遊動線:行き止まりがない設計
音・光・風環境の総合判定
音環境チェック
☐ 寝室:生活音が入らない配置(扉2枚など)
☐ LDK:トイレからLDKまでの扉の数
☐ 書斎:集中できる静かな環境
光環境チェック
☐ 主要な部屋:庇の長さ
☐ 寝室:ベットの向き・配置
☐ 作業スペース:ダクトレールなどの照明配置
風環境チェック
☐ 夏場:エアコンの設置位置(全館冷房)
☐ 換気:サーキュレーター用コンセントの配置
収納計画の妥当性チェック
☐ リビング:小物やアウター用のクローゼット
☐ 玄関:子どもの遊び道具
☐ 掃除用具:各階にアクセスしやすい収納
☐ 備蓄用品:浸水しても大丈夫な高い階に保管
☐ WIC:収納以外の用途(在宅勤務等)も考慮した設計
将来対応の確認
☐ 子どもの成長:部屋の間仕切りや用途変更が可能
☐ 高齢化対応:段差が少なく手すりを付けられる
☐ ライフスタイル変化:在宅勤務、趣味の変化に対応
☐ 設備更新:給排水・電気配線の更新が容易
まとめ:理想の間取りで後悔のない家づくりを
注文住宅の間取り決めは、一生に一度の大きな決断です。しかし、実体験に基づく具体的なポイントを押さえて進めれば、必ず理想の住まいを実現できます。
この記事の重要ポイント
- 家事動線を最優先:毎日の生活の質が決まる最重要要素
- 住環境の基本設計:音・光・風・温度の4要素を丁寧に設計
- 部屋別の詳細設計:それぞれの用途に最適化された空間作り
- 収納は適材適所:使う場所で完結する仕組み作り
- 将来の変化への対応:家族構成やライフスタイルの変化を見据える
最後に
間取りに正解はありません。 あなたの家族にとって最適な間取りは、あなたの生活スタイルから生まれます。
この記事で紹介した実体験に基づくポイントを参考に、じっくりと時間をかけて、家族みんなが笑顔で過ごせる理想の住まいを実現してください!
特に、扉2枚設置による防音対策や、ウォークインクローゼットの書斎活用など、他では得られない具体的なアイデアが、あなたの家づくりの役に立つことを願っています。
家づくりは家族づくり。 間取りを考える時間も、きっと大切な思い出になるはずです!




