照明スイッチの高さって、標準は120cmって聞いたけど、本当にそれでいいのかな…
子どもやお年寄りにも使いやすい高さにしたいけど、何cmが最適なんだろう?
自動人感センサーを多くして、スイッチを少なくできないかな?
注文住宅の間取り設計で、照明スイッチの高さは意外と悩むポイントです。標準値があるとはいえ、家族構成や生活スタイルによって最適な高さは変わってきます。建築担当者からは「一般的には100cm~120cmですね」と言われるだけで、具体的なアドバイスはほとんどありません。
この記事では、昔の標準120cmから現代の100cmへと変化した理由や、家族構成別の最適な高さ、部屋ごとの推奨値まで詳しく解説します。
さらに自動照明の活用法やスマートスイッチの最新情報も紹介しているので、これを読めば建築担当者に「こうしたい」と具体的に伝えられるようになります。
照明スイッチの高さは一度設置すると変更が難しいからこそ、計画段階でしっかり考えることが大切です。この記事を参考に、あなたの家族全員が使いやすい理想的な住まいを実現しましょう。
照明スイッチの高さ、どれが正解?

参照:パナソニック株式会社「照明スイッチの高さに関するFAQ」https://www.panasonic.com/jp/support/faq/(2025年4月26日閲覧)
照明スイッチの高さは、毎日何度も使うものだからこそ、適切な位置に設置することが重要です。時代によって標準とされる高さが変わってきています。
昔と今で違う照明スイッチの高さ
照明スイッチの高さは、昔の120cmから現在は100cm前後へと変化してきました。これは、日本人の平均身長が高くなったにもかかわらず、スイッチの高さが逆に低くなっているのが特徴です。
- 家族全員が使いやすい高さを重視するようになった
- 子どもやお年寄りにも配慮したユニバーサルデザインの普及
- 女性も主体的に家づくりに関わるようになった
1970年代の住宅と現在の新築住宅では、スイッチの高さに約20cmの差があるのが一般的です。これは単なるデザイン変化ではなく、より使いやすい住環境を目指した結果です。
昔はなぜ120cmが多かったの?

かつて照明スイッチが120cmだった理由は、主に成人男性の使いやすさを基準に設計されていたからです。
- 当時の成人男性の肘の高さ(約105〜110cm)より少し上に設置
- 子どもの誤操作を防ぐ意図があった
- 立ったままでの操作を前提としていた
- 当時は男性中心の家づくりが一般的だった
昭和時代の住宅では、ほとんどの照明スイッチが床から120cm前後に統一されていましたが、これは当時の標準的な男性の使いやすさを優先した設計でした。
我が家は、妻の身長が高いため、120cmにしました。
身長165cmの人が、高さ100cmのスイッチは、ちょっと低くて使いにくいかなと思います。
最近の家で100cmが選ばれる理由
現代の住宅でスイッチ高さが100cm前後になった最大の理由は、家族全員の使いやすさを重視するようになったからです。平均身長は高くなっているのに、スイッチは低くなっているのは、多様性への配慮が進んだ証拠です。
- 子どもからお年寄りまで幅広い年齢層が使いやすい
- 車椅子ユーザーにも配慮した設計思想の普及
- 女性の平均的な肘の高さ(約95cm)に近い
- 家族全員の使いやすさを優先する考え方の普及
現代の住宅の約70%が90〜110cmの範囲でスイッチを設置しています。特に100cm前後が最も多く採用されています。
最新のおすすめ基準は?
照明スイッチの最新のおすすめは、基本を100cmとしつつ、部屋の用途に応じて調整することです。さらに業界団体のガイドラインも参考になります。
公益社団法人全関東電気工事協会や日本建築学会のガイドラインでは、一般住宅のスイッチ高さとして95〜100cmを推奨しています。特にユニバーサルデザインの観点では、以下の基準が示されています。
- 一般的な使用:床から95〜100cm
- 車いす使用者向け:床から80〜90cm(JIS規格)
- バリアフリー住宅:床から90〜95cm
部屋別の最適な高さの目安
部屋の種類 | おすすめの高さ | 理由 |
---|---|---|
リビング | 100cm | 家族全員が使いやすい標準的な高さ |
キッチン | 110cm | 水濡れや汚れから保護する高さ |
寝室 | 95〜100cm | ベッドに座った状態でも届く高さ |
将来的に高齢者や車いす使用者が住む可能性がある場合は、ユニバーサルデザインガイドラインに沿った80〜90cmの設定も検討する価値があります。
照明スイッチの高さは、家族全員が使いやすい位置に設置することが大切です。平均身長が高くなった現代でも、多様な家族構成を考慮して100cm前後が標準になっています。
業界ガイドラインも参考にしながら、あなたの家族構成に最適な高さを選びましょう。
使いやすい照明スイッチの高さの決め方

照明スイッチの高さは、家族全員が使いやすいかどうかで生活の快適さが大きく変わります。「標準」とされる高さがあっても、実際にはあなたの家族構成や生活スタイルに合わせて決めるのがベストです。ここでは、家族それぞれの立場から考える最適な高さをご紹介します。
大人にとって押しやすい高さは?
大人にとって最も押しやすい照明スイッチの高さは、床から95〜105cmの範囲です。これは多くの大人の肘の高さに近い位置で、自然な動作で操作できます。
- 平均的な成人の肘の高さは男性で約105cm、女性で約95cm
- 両手に荷物を持った状態でも操作しやすい高さを考慮
- 家具の配置や動線を考えて、アクセスしやすい位置に設置
実際の生活では、リビングやキッチンなど頻繁に使う場所では100cm前後が最も使いやすいでしょう。
子どもや高齢者も使いやすい高さ
子どもや高齢者にも使いやすい照明スイッチの高さは、床から90〜95cm程度です。これは子どもの成長や高齢者の身体的特性を考慮した高さです。
- 5〜6歳の子どもの手の届く高さは約90cm
- 高齢者は腕を高く上げる動作が負担になりやすい
- 関節の硬さや筋力低下を考慮した位置設定が必要
子ども部屋を低めの90cm程度に設定すると、小さなお子さんでも自分で操作できるようになりますが、子どもは成長するので、将来、使いにくくなる可能性が高いです。
車椅子でも使いやすい高さの工夫
車椅子ユーザーにとって使いやすい照明スイッチの高さは、床から80〜85cm程度です。これはJIS規格やバリアフリー法でも推奨されている高さです。
- 車椅子に座った状態での操作を想定
- 手の届く範囲は床から70〜100cm程度
- 最も操作しやすいのは80〜85cmの範囲
現在車椅子ユーザーがいなくても、将来的な可能性を考えるなら、少なくとも1階の主要なスイッチは低めに設定しておくと安心です。
特に玄関や廊下など、移動の要となる場所は車椅子対応の高さを検討する価値があります。
照明スイッチの高さは、家族全員が無理なく使える位置に設置することが大切です。標準的な100cmを基準としつつも、実際に使う人の身体特性や将来の変化も考慮して決めましょう。

参照:全国自動ドア協会「多機能トイレ用自動ドア安全ガイドライン」
スイッチがいらない場所には自動照明もおすすめ
照明スイッチの高さを考える一方で、スイッチそのものが不要な選択肢もあります。自動照明は、人感センサーで人の動きを検知して自動的に点灯・消灯する便利なシステムです。特定の場所では、この自動照明が非常に役立ちます。
自動照明のメリット・デメリット

自動照明は手動スイッチの必要がなく、特に両手がふさがっている時や暗い場所での移動時に便利です。しかし、設置場所によってはメリットとデメリットを慎重に検討する必要があります。
メリット:
- 手がふさがっていても自動で点灯
- 夜間のトイレや廊下での安全性向上
- 電気の消し忘れ防止で省エネに貢献
- 子どもやお年寄りも操作不要で安心
- 防犯対策として不在時の点灯も可能
デメリット:
- センサーの感度調整が必要
- 誤作動(ペットや風で動くカーテンに反応など)
- 長時間静止していると消灯する
- 完全な消灯が必要な場面では不向き
自動照明が便利な場所と設置アイデア

自動照明は全ての場所に向いているわけではありません。特に以下の場所では、その利便性が最大限に活かされます。
特におすすめの設置場所
玄関からLDKまでの動線
- 買い物袋や荷物を持って帰宅した時に両手が塞がっている
- 子どもが外から帰ってきた時にスイッチを探す手間がない
- 玄関→廊下→LDKと連続して移動する際、複数回スイッチ操作が不要に
- 夜間の帰宅時に暗い家の中を手探りで進む危険を回避
トイレ・洗面所
- 夜間の使用時に明かりを探す必要がない
- 手洗い中や用足し中に消えない設定が便利
廊下・階段
- 夜間の移動時の安全確保
- 短時間の通過だけなので消し忘れ防止に効果的
ウォークインクローゼット
- 荷物を持ったままでも自動点灯
- 使用後の消し忘れを防止
設置アイデア:
帰宅動線(玄関からLDKまで)を自動照明しました。荷物を持っていると便利です。
また、トイレも自動照明にし、消し忘れのリスクをなくしました。
「自動照明にすると、子どもがスイッチを消す習慣が身に付かない」という意見もありますが、子どものころ、スイッチを使ってきた自分は、スイッチを消し忘れます。つまり、子どもの頃の習慣が直結しているわけではないんですね。
夜間の帰宅時にも暗い家の中を手探りで進む必要がなく、安全性が大幅に向上するので、玄関→廊下(階段)→LDKまでの道のりは、自動照明が非常に便利です。
これからの便利な照明スイッチ
照明スイッチは今、大きな進化を遂げています。従来の単純なオン・オフだけでなく、生活をもっと快適にする多彩な機能を持つスマートスイッチが登場しています。ここでは、これからの住まいに取り入れたい最新の照明スイッチ技術をご紹介します。
スマートスイッチや最新機能の紹介
スマートスイッチは、従来のスイッチの概念を一新する次世代の照明操作システムです。
- スマホアプリでの遠隔操作
- 外出先からでも照明のオン・オフが可能
- 消し忘れの確認と操作ができる安心感
- 音声操作との連携
- 「電気つけて」などの声だけで操作可能
- 手がふさがっている時に特に便利
- シーン設定機能
- ボタン一つで複数の照明を一括操作
- 「おやすみモード」「映画鑑賞モード」など生活シーンに合わせた設定
- スケジュール機能
- 決まった時間に自動で点灯・消灯
- 朝は徐々に明るくなる目覚まし照明として活用
スマートスイッチは単なる便利さだけでなく、省エネや防犯対策にも役立ちます。外出先からでも照明を操作できるため、消し忘れによる無駄な電力消費を防いだり、不在時に照明をつけて在宅を装うことも可能です。
これからの住まいづくりでは、「押しやすい」だけでなく、押す必要がないスイッチという視点も取り入れていくと、生活がしやすくなると思います。
照明スイッチの高さ選びで後悔しない家づくりを
照明スイッチの高さは、現代では家族全員の使いやすさを考慮した100cm前後が主流になっています。
また、玄関からLDKまでの動線には自動照明を取り入れると、両手がふさがっているときも安心ですし、スマートスイッチなどの最新技術を活用すれば、スマホや音声での操作も可能になり、スイッチの高さの問題を考えなくてよいという発想も重要です。
照明スイッチの高さは、標準値を知った上で、あなたの家族に最適な高さを選び、後悔のない家づくりを実現しましょう。
