あとで、「ここにもコンセントを付ければよかった」と後悔したくない
コンセントって床からどのくらいの高さに設置すればいい?
後から追加工事するとこんなに高いの!?
注文住宅の設計段階で、コンセントの位置決めに頭を抱えていませんか?建築担当者からは「標準的な配置で大丈夫です」と言われるものの、実際に住み始めてから「ここにもコンセントがあれば」と後悔する人が非常に多いのが現実です。
本記事では、部屋別の最適な配置から、家具との調和、安全対策まで、コンセント設計の全てを20のポイントにまとめました。
この記事を読めば、「床から30cmの古い常識」から脱却し、現代の生活スタイルに合った、将来も後悔しないコンセント計画が立てられます。
住宅設計の初期段階でコンセント計画をしっかり立てることで、入居後の「もっとここにコンセントがあれば良かった」という後悔を防ぎ、長く快適に暮らせる住まいを実現しましょう。
コンセント設計で失敗しないための基本計画

注文住宅のコンセント配置は、住み始めてから後悔することが最も多い要素の一つです。適切な位置に必要な数のコンセントを設置することで、日常生活の利便性が大きく向上し、将来の変更工事の手間やコストを避けることができます。
- 使用家電の数と種類を事前リストアップ
- 将来の家電増加を見据えた余裕ある設計
- 家族の生活動線を考慮した配置
- 後からの変更は高コスト(1箇所2〜5万円)
- USB付きコンセントの戦略的配置
例えば、充電式掃除機なら、階段下収納にコンセントがあると便利であるように、設計初期段階で生活のシミュレーションをすることが最重要ポイントです。
コンセント配置の基本ルール

コンセント配置は「数・間隔・高さ」の3要素が重要です。適切な設計で「ここにもコンセントが欲しかった」という後悔を防ぎましょう。
コンセントの設置数の目安
コンセントは多すぎることはありません。少なすぎて後悔するケースがほとんどです。
生活を想像しながら必要な場所を見つけていきましょう。例えばコーヒー好きであれば、自動コーヒーミルやコーヒーサーバー、もしかすると電子ケトルも使うかもしれません。
このように、あなたが日々使っている家電を思い出しながら、必要な場所にコンセントを配置していきましょう。
- リビング:6畳あたり6個~(テレビ周り8口・ソファ周り2口以上)
- キッチン:作業台上部に3~4個、家電収納に2〜3個
- 寝室:ベッド両サイドに各1~2個、TV/PC用に2個
- 子供部屋:学習机周りに3個
- 洗面所:洗面台両サイドに各1個
- 廊下/階段:掃除機用に10m間隔で1個。階段の上下にも設置。
実際の設計では、この目安に+2〜3個の余裕を持たせると安心です。
失敗しないコンセント間隔の決め方
間隔の基本は「どこにいてもコードが届く」という考え方です。
- 基本間隔:壁面2.5〜3m毎に1箇所
- コードの長さ考慮:一般的なスマホ充電器(1m)、掃除機(5〜7m)
- 部屋の中央からの距離:どの場所からも3m以内にコンセントがある配置
- 家具配置予定場所:ソファ、ベッド、デスク背面には必ず設置
例えば、12畳のリビングなら、どの位置に座っても手の届く範囲(約1.5~2.0m)にコンセントがあるよう配置すると便利です。
使いやすい高さの決め方
最新の住宅設計では、コンセントの高さは床から70〜90cmが標準になりつつあります。床付近の低い位置は古い常識です。
- 腰をかがめずに使用できる(高齢になっても負担が少ない)
- 子どもの安全対策(手の届きにくい高さで事故防止)
- 掃除のしやすさ(床拭き時に邪魔にならない)
- コードの取り回しが見栄え良く(垂れ下がりが少ない)
- 水濡れリスクの低減(水拭き時の安全性)

参考:Panasonic【スイッチ】コンセント・スイッチの設置高さの目安はあるか、教えてください。
掃除機用のコンセントも高い位置に設置することで、毎日の掃除が楽になります。コードリールタイプの掃除機なら、高い位置からのコード引き出しがスムーズです。
- 基本的な高さ:床から70〜90cm(立ったまま使用可能)
- キッチンカウンター:カウンター上10〜15cm
- テレビ周り:テレビ台の高さ+10cm
- 充電ステーション:床から100cm前後(目線の高さ)
コンセントの基本ルールを現代的な視点で押さえることで、長く快適に暮らせる住まいが実現します。
部屋別・失敗しない配置のコツ
各部屋の特性や使用目的に合わせたコンセント配置が、住みやすさを大きく左右します。実際に7年間住んでみて気づいた、部屋別の最適な配置方法をご紹介します。
リビング|テレビ周りの配線隠しと最適な高さ
リビングのテレビ周りは家電が集中する場所です。見た目も機能性も満足できる配置を心がけましょう。
特にAVアンプや複数のゲーム機がある場合は、将来、たこ足配線にならないよう、多めに設置しましょう。
- 必要数:最低8口以上(テレビ、レコーダー、ゲーム機、サウンドバー用等)
- 高さ:テレビ台の高さ+10cm、または壁掛けテレビの場合は裏側に隠れる位置
- 配線隠し:壁内配管か、配線カバーを使用して見えないように工夫
特におすすめなのは、テレビ台と壁の間に「配線用スリット」を設けること。後からケーブルの抜き差しが簡単にでき、見た目もすっきりします。
将来、電動のスクリーンやプロジェクター(天吊り)を設置する可能性があるなら、天井にも電源の用意をしておきましょう。

キッチン|IH周りの200Vコンセント注意点
キッチンは様々な家電を使う場所。冷蔵庫、炊飯器、電子レンジ、トースター、ミキサー、コーヒーサーバー、電子ケトル等々、使う予定の家電を確認しましょう。
- 設置位置:IHの真後ろではなく、少しずらした位置に(メンテナンス時に便利)
- 調理家電用:カウンター上に80cm間隔で複数設置(同時使用を想定)
- 冷蔵庫用:専用コンセントを設け、他の家電と共用しない
クッキング動画を見ながら料理をするときに、携帯の充電用コンセントがあると便利ですし、キッチン家電は年々増加傾向にあるため、コンセントは多めに設置しておくと安心です。
寝室|ベッド横の便利なUSBコンセント位置

寝室では、就寝中の充電や読書灯など、ベッドサイドのコンセント配置が重要です。
- ベッドサイド:両側に各1〜2口(高さはマットレス上10〜20cm)
- USB付きコンセント:スマホ充電用に便利(Type-C対応が望ましい)
- ベッド・ヘッド裏:間接照明用に隠しコンセントを設置
- 将来のTV位置:壁掛けTV用に高めの位置にも設置検討
特に便利なのは、ベッドサイドテーブルの高さに合わせたUSB付きコンセント。充電ケーブルが短くても使いやすく、見た目もすっきりします。
寝室は、ベッドの向きを変えることもあるので、4つ隅+壁の中央の場所+ベッドの上に出るよう高めの位置に設置しておくと便利です。
浴室・洗面台|水回りの安全な設置方法
水回りのコンセントは安全性が最優先。防水性と位置に注意が必要です。
- 洗面台:両サイドに各1口(ドライヤー、電動歯ブラシ用、髭剃り)
- 位置:水栓から60cm以上離す(水はね防止)
- 高さ:床上100cm以上(水濡れリスク低減)
- 防水カバー付き:浴室や洗面所には必ず防水タイプを使用
特に洗面台周りは、朝の混雑時に複数の電化製品を使うことが多いため、十分な数のコンセントを確保しましょう。
全館冷房をする場合、浴室はサーキュレーターで乾かすため、必ず入り口にコンセントを付けましょう。
洗濯機のコンセント配置|失敗しない高さと位置の決め方
洗濯機コンセントの高さは、一般的には110~130cmと言われていますが、水栓よりも上(120〜140cm)がオススメです。
仮に水漏れしても、コンセントが水栓より上だと濡れるリスクが軽減されます。
- 洗濯機背面の中央よりやや左右にずらす:洗濯機本体と干渉しないよう、完全な中央は避ける
- 給水栓・排水口との距離:水栓から30cm以上離すのが理想的
- 専用回路の確保:大型洗濯機や乾燥機能付きは消費電力が大きいため専用回路が望ましい
また、洗濯機周辺で使う家電がある場合は、コンセントを追加しておきましょう。
- 衣類乾燥機用:別途コンセントを設置(200V対応も検討)
- アイロン用:洗濯機横に作業スペースがある場合は追加コンセントを
- 洗剤投入ロボット用:最新の自動投入機器に対応するコンセント
洗濯機のコンセント位置は、一度設置すると変更が難しい部分です。設計段階でしっかり考慮し、日々の家事がスムーズに行える配置を選びましょう。
子ども部屋|成長に合わせて変える配置
子供の成長に合わせて使い方が変わる子供部屋は、将来を見据えた配置が重要です。
- 学習机周り:3口以上(PC、デスクライト、充電器用)
- 高さ:高め(90cm以上)だと、乳幼児には安全。成長したら、学習机よりも上にあると便利
- 将来のPC利用:有線LAN端子も近くに設置検討
- ベッド周り:将来の配置変更を想定し、複数箇所に設置
子ども部屋は特に、レイアウト変更が頻繁に行われる場所。壁の複数箇所にコンセントを設けておくことで、成長に合わせた家具配置の自由度が高まります。
玄関|便利な位置と多目的活用の秘訣

玄関は意外とコンセントの必要性が見落とされがちな場所なので、忘れず設置しておきましょう。
- 電動自転車のバッテリー充電
- 掃除機の使用
- 靴乾燥機の設置
- アクアリウムの設置
- イルミネーション設置
玄関は「あって良かった」と感じるコンセント設置場所の代表例です。後付けが難しい場所なので、設計段階での計画が特に重要となります。
屋外コンセントの必須知識

屋外コンセントは、新築時に設置しておくと後々の生活が格段に便利になります。後付けすると工事費用が2〜3万円/箇所かかるため、計画段階での検討が重要です。
基本的には「家の周囲をぐるりと囲むように」設置するのがベストです。
屋外コンセントの基本配置
家の外周には、最低でも以下の配置でコンセントを設けることをおすすめします。
- 四隅の角:家の4つの角にそれぞれ1箇所ずつ
- 各辺の中央:長い壁面の場合は、中間地点にも1箇所ずつ
- 玄関周り:イルミネーションや防犯機器用に1箇所
この「8箇所の鉄則」を守ることで、どこで作業をしても電源コードが届く環境が整います。特に庭が広い場合は、どの場所からも5〜7m以内にコンセントがある状態が理想です。
コンセントが足りないと、屋外用のリールを買わないといけなくなってしまいます
屋外蓄電池の設置を見越したコンセント計画
近年、災害対策や電気自動車の普及に伴い、家庭用蓄電池の需要が高まっています。将来の蓄電池設置を見据えたコンセント計画が重要です。
- 設置位置:雨風の影響を受けにくい軒下や壁面
- 電源容量:専用回路(分電盤から直接配線)が必須
- 高さ:床から70〜90cm(操作パネルの見やすさを考慮)
- 将来性:EV充電も考慮した200V対応も検討
特に重要なのは、蓄電池設置予定場所の近くに専用コンセントを用意しておくこと。後から追加すると配線ルートの確保が難しく、工事費用も高額になります。
複数本の電源用やLANケーブル用の配管が必要ですが、電圧が高く、LANケーブルのノイズになるため、配管の種類や別ルートを通すなどの工夫が必要です。
詳しくは想定している蓄電池のメーカーに確認しておきましょう。
庭仕事に便利なコンセント配置
ガーデニングや庭の手入れに電動工具を使うなら、屋外コンセントは必須アイテムです。
- 設置場所:庭の中心から5〜7m以内の場所(コード長を考慮)
- 防水性能:IP44以上の防水カバー付きタイプを選択
- 高さ:地面から60〜90cm(かがまず使える高さ)
- 複数口:同時に複数の電動工具を使用できるよう2〜3口設置
庭仕事では高圧洗浄機や電動芝刈り機など、消費電力の大きい機器を使うことも。そのため、専用回路を設けるか、十分な容量を確保しておくことが重要です。
防犯カメラ用の電源計画
防犯カメラは後から設置するケースが多いため、事前の電源計画が重要です。
- 設置位置:玄関、駐車場、庭の出入口など死角になりやすい場所の近く
- 高さ:地上2.5〜3m(カメラの設置高さに合わせる)
- 給電方法:通常コンセント給電とPoE給電(LANケーブルから給電)の2種類を検討
- 配線隠し:露出配線は切断リスクがあるため、壁内や天井裏への配線経路を確保
屋外コンセントは「あれば便利」ではなく「無いと困る」設備です。新築時に家の周囲をカバーする形で適切に計画することで、将来的な生活の質と資産価値を高めることができます。
家具と調和する配置テクニック
コンセント配置は機能性だけでなく、家具配置やインテリアとの調和も重要です。家具レイアウトを邪魔せず、見た目も美しく保つためのテクニックを紹介します。
ソファ配置を邪魔しない位置決め
ソファは部屋の中で最も場所を取る家具の一つ。コンセント位置によってソファの配置が制限されないよう工夫が必要です。
- 高さ調整:ソファの背もたれ高さ+10cmに設置(背面に隠れず使える)
- 間隔:ソファ幅に合わせて2〜3m間隔で複数設置
- 位置:窓際だけでなく、内壁側にも設置(レイアウト変更に対応)
- コード長考慮:スマホ充電器(1m)、フロアライト(1.5m)の使用を想定
例えば、3人掛けソファ(幅約180cm)の場合、背面中央と両端から30cmの位置に計3つのコンセントがあると理想的です。高さはソファ背面の高さ(約80cm)より10cm高い90cm程度が使いやすいでしょう。
ダイニングテーブル周りの便利なコンセント計画

ダイニングテーブルは食事だけでなく、作業や学習にも使う多目的スペース。適切なコンセント配置で利便性を高めましょう。
- 壁面コンセント:テーブル高さ+10cm(80〜90cm)に設置
- 用途:タブレット学習、リモートワーク、調理家電の使用
- 数量:最低2箇所(テーブルの両側に1箇所ずつ)
特にホットプレートや電気鍋などを使う機会が多い家庭では、ダイニングテーブル横のコンセントが非常に便利です。延長コードを引き回す必要がなく、見た目もすっきりします。
また、子どものタブレット学習や大人のリモートワークにも対応できます。
ラダーラックで充電ステーションを作る

スマホやタブレットの充電場所をまとめることで、配線の煩雑さを解消できます。
- 壁掛け棚の活用:ラダーラックに充電器をまとめて設置
- コード管理:配線カバーやケーブルボックスでコードを隠す
- 設置場所:玄関近くや寝室など、日常的に使いやすい場所
- USBコンセント:複数のUSBポートがあるコンセントを使用
壁に棚を設置し、その上に充電器を置くだけで、簡単に充電ステーションが完成します。家族全員のデバイスを一箇所で管理できるため、「充電器がない」というストレスから解放されます。
将来の家具の買い替えやレイアウト変更も視野に入れ、柔軟性を持たせた配置計画が、長く快適に暮らすための鍵となります。
安全と防災のための配置
コンセント配置は利便性だけでなく、家族の安全と災害時の備えという観点も重要です。特に小さな子どもがいる家庭や、災害の多い日本では、安全対策を考慮したコンセント計画が欠かせません。適切な配置で家族を守りましょう。
子どもが触れない安全な高さ
小さな子どもの感電事故を防ぐには、コンセントの高さ設定が重要です。
- 推奨高さ:床から90cm以上(幼児の手が届きにくい高さ)
- シャッター付きコンセント:不使用時に差込口が閉じるタイプを選択
- カバー設置:使用頻度の低いコンセントには安全カバーを取り付け
- 家具配置:コンセント前に家具を置いてアクセスを制限
特に子ども部屋や、子どもがよく遊ぶリビングでは、高い位置へのコンセント設置が基本です。床から30cmという従来の常識は、子どもの安全を考えると見直す必要があります。
停電時に役立つ非常用コンセント
太陽光発電や蓄電池システムを導入する場合、停電時に使える特定のコンセントの設置が可能です。
- 延長コードの必要性:冷蔵庫やテレビなど、普段使っている電化製品を非常用コンセントに接続するには延長コードが必須
- 延長コードの準備:5〜10m程度の長さのものを災害用に準備しておく
- 設置場所の工夫:非常用コンセントは、ライフラインに繋がる電源(テレビ、冷蔵庫、電子レンジ等)へ延長ケーブルが届く位置へ
例えば、リビングの冷蔵庫やテレビを非常用電源で動かす場合、分電盤から各機器まで延長コードを引く必要があります。そのため、平時から延長コードの保管場所を決めておき、家族全員が使い方を理解しておくことが大切です。
まとめ:後悔しないコンセント配置の極意
注文住宅のコンセント配置は、日々の生活の快適さを左右する重要な要素です。本記事でご紹介した内容を実践することで、「ここにもコンセントがあれば」という後悔を大幅に減らせます。
- コンセントは多すぎることはない(必要数+2〜3個の余裕を)
- 高さは床から70〜90cmが使いやすい(低すぎる配置は古い常識)
- 部屋ごとの使用シーンを想像して配置を決める
- 家の外周には「8箇所の鉄則」で屋外コンセントを設置
- 家具配置を考慮し、将来のレイアウト変更にも対応できる計画を
- 安全性と防災面も忘れずに(子ども対策、停電対策、雷対策)
コンセント計画は、住宅設計の初期段階でしっかり考えることが大切です。この記事を参考に、長く快適に暮らせる住まいづくりを実現してください!
