防犯カメラを取り付けるために必要な知識を知りたい
防犯カメラを取りつけるための注意点って何?
防犯カメラに必要な機能は?
防犯カメラの設置は一見簡単そうに見えますが、実際には設置場所の選定、配線方法、プライバシーへの配慮など、初心者には分かりにくいポイントが多く存在します。
この記事では、防犯カメラの基本知識から設置手順、法律やマナー、設置後のメンテナンスまで、初心者でも迷わず実践できる情報をまとめています。
正しい知識と準備で、安心して暮らせる住まいを実現しましょう。
設置前に知っておくべき基本知識

防犯カメラの設置は場所選びから始まります。どこにどう付けるか、電源はどうするか、どのくらいの性能が必要かを事前に理解しておくことで、設置後の「こうすれば良かった」を防ぎます。ここでは失敗しないための基本知識を解説します。
最適な設置場所とプライバシー配慮
防犯効果を最大にするなら、侵入者が最も利用する「玄関・勝手口・1階窓」の3カ所への設置が基本です。
- 玄関からの侵入が全体の約30%
- 勝手口からの侵入が約25%
- 1階窓からの侵入が約20%
- 他はベランダやバルコニーなど
ただし、他人の敷地や住居を映さないよう注意が必要です。他人の私有地を無断撮影するとプライバシー侵害や、近隣トラブルの原因になりますし、最悪の場合、撤去や損害賠償請求の対象になることもあります。
【効果的かつ適切な設置のポイント】
項目 | 推奨される設定 | 避けるべきこと |
---|---|---|
高さ | 地上から2.5~3m | 簡単に手が届く位置 |
角度 | 自宅敷地内を中心に10~15度下向き | 隣家の窓や庭を正面から撮影 |
範囲 | 自分の敷地内のみ | 公道の歩行者を正面から撮影 |
防犯効果を高めるには3大侵入ポイントへの設置が効果的ですが、同時に他人のプライバシーを侵害しない角度調整が大切です。これにより安心と信頼を両立できます。
電源と接続方法の選び方
防犯カメラの接続方法は「有線式」「Wi-Fi式」、電源は「コンセント」「電池」「ソーラー」のタイプから選びます。設置場所の条件と求める安定性を考慮して最適な方式を選びましょう。
固定できるか
配線ができるか(防水や室内への引き込み)
電源は何か?(コンセント、電池等)
設置環境や使いやすさを考えて電源・接続方法を選びましょう。安定性を重視するなら「電源:コンセント」「LAN配線:有線」「LAN配線:工事を避けたいならWi-Fi式」が適しています。
画質・録画時間・防水性能のポイント
防犯カメラ選びで失敗しないためには「解像度400万画素以上」「1週間分以上の録画容量」「防水性能IP65以上」の3つが基本です。これらの性能基準を満たすことで、必要な場面をしっかり記録できます。
フルHDでも意外と画質が荒いんですよね…
【解像度の目安】
画素数 | 何が見えるか | おすすめの用途 |
---|---|---|
100万画素(HD) | 人の姿のみ判別可能 | 広範囲の監視 |
200万画素(フルHD) | 3~5mなら顔の特徴が識別可能 | 一般的な防犯用途 |
400万画素(4K) | 車のナンバーや細部まで識別可能 | 重要箇所の詳細確認 |
【録画容量の目安】4Kカメラ(400万画素)1台で24時間録画した場合
- 1日あたり:約15~20GB
- 1週間:約100~140GB
- 1か月:約450~600GB
【録画の継続性について】
ほとんどの防犯カメラシステムは容量が一杯になると自動的に上書き録画を行います:
- 古いデータから順番に消去され、新しい映像が常に記録される
- 特に設定変更をしなくても初期設定で上書き録画が有効になっている機種が多い
- 重要な映像は上書きされる前にバックアップが必要
【防水規格】
- IP65:あらゆる方向からの噴流水から保護
- IP66:強い噴流水から保護(一般的な屋外用)
- IP67:一時的な水没にも対応(水はけが悪い場所用)
適切な解像度・録画容量・防水性能を備えたカメラを選ぶことで、必要な瞬間をしっかり記録し、長期間安定して使用できます。
最低でも400万画素・1週間分の録画・IP65以上の防水性能があるモデルを選びましょう
実際の設置に必要な準備リスト

防犯カメラの設置は、特に屋外の外壁への設置では、安全面や技術面での課題が多く、適切な準備と知識が必要です。ここでは設置の難しいポイントと対策、データ管理について解説します。
外壁に設置する際の難しいポイントと対策
外壁に防犯カメラを設置する場合、電源をコンセントからとる場合は穴あけ作業や防水対策、高所での作業などが必要になる可能性があります。
【難しいポイントと対策一覧】
難しいポイント | 問題点 | 具体的な対策 |
---|---|---|
穴あけ作業 | コンクリートが割れる サイディングが破損する | ・振動ドリルで適切な下穴 ・壁材に合わせたアンカー選び ・サイディング専用ビスの使用 |
防水対策 | 雨漏りの原因になる 機器の故障につながる | ・ケーブル接合部に防水テープ ・ビス穴へのシリコンコーキング充填 ・ボックス下側からの配管接続 |
高所作業 | 転落事故の危険 | ・安定した足場の確保 ・安全ロープの使用 ・複数人での作業 |
配線処理 | 露出配線による劣化 | ・屋外用UV耐性ケーブルカバー ・FP管による電源コード保護 ・配線の適切な固定 |
- 穴を開けない設置方法:強力な両面テープやゴリラテープなど耐候性のある粘着材を使用。
- 防水対策の徹底:設置後はケーブルの接合部に必ず防水テープを巻き、ビス穴にはシリコンコーキングを充填。また配管は必ずボックスの下側から接続し、上部からの場合は必ず水切り(U字形)を作る。
- コンクリートアンカーの正しい施工:振動ドリルで適切な下穴を開け、アンカーを差し込んでからハンマーでしっかりと打ち込む。
外壁への防犯カメラ設置は技術的に難しい作業が多いため、穴あけが必要なのであれば、業者に依頼するのがオススメです。
壁の種類別取り付け方法と夜間撮影のポイント
壁の材質によって取り付け方法が異なります。また、夜間もしっかり撮影するには、赤外線LEDの効果的な活用が重要です。
【壁の種類別の注意点と対策】
壁の材質 | 主な注意点と対策 |
---|---|
木製壁 | ・取付前に木材の状態を確認 ・下地の木材に直接ネジ止めし、表面のみの固定は避ける ・防腐剤塗布済みの木ネジを使用し、長さは壁厚の2/3程度が目安 |
サイディング | ・サイディングの継ぎ目は避け、中央部分に設置する ・必ずサイディング専用のビスを使用。締めすぎると割れる ・取付部分はコーキング材でしっかり防水処理を行う |
コンクリート | ・振動ドリルを使い、ビスの太さより1mm大きめの穴を開ける ・適切なコンクリートアンカーを使用(プラスチック製や金属製) ・端から5cm以上離して穴を開け、ひび割れを防止 |
夜間撮影のポイントは、カメラの赤外線LEDが届く範囲は通常5~10m程度であることや、反射物によって映像が白飛びする場合があること、また、風で動いたものを検知し誤作動が起こることも考慮し、設置しましょう。
壁に穴を開けない!3つの手軽な防犯カメラ設置方法
ここからは、壁に穴を開けずに防犯カメラを設置する3つの方法をご紹介します。これらは工具をほとんど使わず、原状回復も簡単です。
クリップ式マウント
棚の端やテーブルの縁など、挟める場所ならどこでも簡単に設置できる便利なアイテムです。挟む力で固定するため表面を傷つけず、厚さ1〜5cm程度の場所に対応します。角度調整が自由にでき、室内用の小型カメラに最適です。
ただし、防風などの際には外れる危険性があるので、下を人が通らない場所に設置しましょう。
ポール取付金具
玄関先の郵便ポストや庭のフェンス支柱など、既存のポールやパイプを利用してカメラを設置できる金具です。直径2〜10cm程度の円柱状のもの、ベランダの手すりや物干し竿なども活用可能です。
バンド式とUボルト式があり、太さに合わせて選べます。金属製ポールは温度変化で膨張・収縮するため、定期的な点検が必要です。
マグネット式マウント
強力なマグネットを利用し、金属製のドアや冷蔵庫、スチール棚など、磁石がくっつく場所ならどこでも使えます。設置位置の変更や取り外しが簡単で、屋外の雨樋や鉄製フェンスにも使用可能です。
ただし、カメラの重さに適したマグネット強度のものを選び、屋外の強風時は安全ワイヤーなどの補助固定を検討しましょう。
設置方法 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
クリップ式マウント | 簡単設置。 角度調整可能。 | 通行の多い場所は落下注意。 重さで角度がずれることも。 |
ポール取付金具 | 既存のポールやパイプに固定。 屋外設置に便利。 | 温度変化で緩みやすいので 定期点検が必要。 |
マグネット式マウント | 金属面に吸着して工具不要。 設置や移動が簡単。 | 吸着力に限界あり。 強風時は補助固定が必要。 |
データ保存方法とスマホ接続設定
防犯カメラの映像データは「本体保存型」「レコーダー保存型」「クラウド保存型」の3種類があります。また、スマホで映像を確認するための接続設定も事前に理解しておきましょう。
【データ保存方法比較】
保存方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
SDカード | 初期費用のみ | 容量制限あり、盗難リスク |
NVR録画機 | 大容量保存可能 | 設置場所が必要 |
クラウド | 盗難リスクなし、外出先確認可 | 月額費用が発生 |
- 専用アプリをダウンロード(メーカー指定)
- カメラとWi-Fiを接続(初期設定時のみ)
- アプリでQRコードをスキャンしカメラを登録
- 映像確認とプッシュ通知の設定
データ保存方法はセキュリティとコストのバランスを考慮して選びましょう。また、スマホ接続設定は初期段階で正しく行うことで、外出先からでも簡単に映像確認ができるようになります。
クラウドの場合、気が付いたら容量がいっぱいになり、高額請求されるケースもありますので、上書き設定や使用料上限設定を忘れないようにしましょう。
なにも準備できていない場合にオススメの防犯カメラ
防犯カメラを設置する設計をしていない場合でも、設置できる機種を紹介します。
- 壁に穴はあけられない
- 防犯カメラを設置したい場所に電源コンセントがない
- Wifiもセキュリティ上、怖いから繋げたくない
- 雨があたるので防水・防塵の機種にしたい
全部入りの機種は、SecuGuardのうねうねくんですね。
穴あけ不要、夜間フルカラー、防塵防水、400万画素で、コンセント不要、さらにSDカードで記録できるのでWifiも不要です。
知らないとトラブルになる法律とマナー

防犯カメラを設置する際には、法律やマナーを知らないと思わぬトラブルになることがあります。他人のプライバシーを侵害しないよう、重要なポイントを押さえておきましょう。
撮影範囲と地域の規制について
防犯カメラの撮影範囲については具体的な法律はありませんが、他人のプライバシーを著しく侵害する設置方法は問題となる可能性があります。適切な設置角度と範囲に注意しましょう。
【適切な設置の基本ルール】
適切な撮影対象 | 避けるべき撮影対象 | 具体的な設定方法 |
---|---|---|
自宅の玄関・アプローチ | 隣家の窓や玄関を正面から撮影 | カメラを10~15度下向きに調整 |
自宅の庭や駐車場 | 公道を通行する人の顔が はっきり映る角度 | 境界線から内側に向けて設置 |
自宅敷地の境界線付近 | 隣家のリビングや 寝室などの居住空間 | プライバシーマスク機能の活用 |
実際のトラブル事例:東京地裁平成27年11月5日判決では、区分所有建物の共用部分に設置された防犯カメラについて、原告宅玄関入口付近を撮影していたカメラ1台が「原告らの外出や帰宅等という日常生活が常に把握される」としてプライバシー侵害と認定され、カメラの撤去と原告1人あたり10万円の損害賠償が命じられました。
ご近所への配慮と通知義務
防犯カメラ設置の法的な通知義務はありませんが、ご近所とのトラブル防止のために何らかの形で事前に設置の意思を伝えることが望ましいです。全ての近隣住民に個別通知するのが難しい場合は、張り紙などの方法が現実的です。
- 法的には義務ではないが、突然カメラを見つけると不信感や不安を与える
- 「何を狙って設置したのか」という誤解を招きやすい
- 過去の判例では、プライバシー侵害が「社会生活上受忍すべき限度を超えている」場合に撤去命令が出たケースがある
通知方法と実例
以下の対応を参考にしてみてください。
セキュリティ対策が万全な防犯カメラの選び方

WiFi接続の防犯カメラは手軽に使えますが、知らない人に映像を見られたり、カメラを勝手に操作されたりする危険があります。安全基準をクリアした製品を選びましょう。
WiFi通信のセキュリティ規格を確認する
防犯カメラを選ぶとき、WiFiの安全性を示す「規格」を必ず確認してください。古い規格だと、簡単に映像を盗み見られる危険があります。
- WPA3:一番新しくて安全な規格。おすすめ。
- WPA2-PSK(AES):広く使われている安全な規格。最低でもこれに対応しているものを選ぶ。
- WEPやWPA(TKIP)だけの製品:とても古く、破られる可能性が高いので避ける
- HTTPS対応:インターネット通信の暗号化の確認
特に1万円以下の安い海外製品は、古い安全規格のままのことがあります。説明書や箱に「WPA2」や「WPA3」と書いてあるかを必ず確かめてください。
認証・暗号化方式のチェックポイント
カメラの映像を見るときの「接続パスワード」も大切です。最初に設定されているパスワードのままだと、誰でも映像を見られてしまうことがあります。
- 初期パスワードを必ず変更させる仕組みがあるか(変更を強制してくれるのが安心)。
- 二段階認証(パスワードに加えてスマホなど別の確認も必要にする安全対策)があるか。
- エンドツーエンド暗号化(あなたとカメラの間だけで映像を見られるようにする仕組み)。
- セキュリティ更新プログラムが定期的に提供されるか(古いままだと危険)。
日本メーカーの製品は安全基準が厳しく、セキュリティ更新も長く続くので安心です。パスワードは「password」や「12345」のような簡単なものを許す製品は避けましょう。
また、パスワードを「admin」といった初期設定から変更するようにしましょう。
データ保護と不正アクセス対策
撮影した映像の保存方法や、悪意ある侵入者への対策も確認しましょう。泥棒が使う「WiFiジャマー」(WiFi電波を妨害する装置)への対応も大事です。
- SDカード暗号化:カードを盗まれても映像を見られない仕組み
- クラウド保存の暗号化:インターネット上の保存場所でも安全に守られるか
- WiFiジャマー検知:泥棒が電波妨害したときに警告してくれる機能
- 不審なアクセスを見つけて知らせてくれる機能
「IEC 62676-4」という国際的な防犯カメラの安全規格や、「ISO/IEC 27001」という情報管理の安全認証を持つメーカーの製品は信頼できます。商品説明にこれらの記載があると安心です。
防犯カメラ設置のまとめ
成功するための5つのポイント
段階 | 重要ポイント | 具体的な対策 |
---|---|---|
選定時 | 性能と安全性 | ・防水性能:屋外ならIP65以上 ・画質:200万画素以上 ・WiFiセキュリティ:WPA2/WPA3対応 |
設置時 | プライバシー配慮 | ・自宅敷地内のみを撮影 ・カメラを10~15度下向きに調整 ・近隣への事前告知(張り紙など) |
工事不要の方法 | 穴開け回避 | ・クリップ式マウント(棚や家具) ・マグネット式(金属面) ・ポール取付金具(既存支柱活用) |
メンテナンス | 定期点検 | ・3ヶ月に1回のレンズ清掃 ・角度ずれ ・固定具の確認・録画状況の確認 |
活用方法 | スマホ連携 | ・不審者検知通知の設定 ・映像の定期バックアップ ・家族間での映像共有設定 |
防犯カメラは正しく設置・運用することで、単なる「監視装置」ではなく、家族の安全を守る「見守りシステム」になります。この記事を参考に、あなたの家に最適な防犯体制を構築してください。