リビングでのテレビの音が2階の寝室まで聞こえるのは困るな…
2階の足音が1階に響くのを軽減させたい
室内の音漏れを防ぐ方法が知りたい
一条工務店の間取り設計時に、こんな音の悩みを抱えていませんか?
高気密・高断熱という優れた性能は、外部の音は遮断されるのに、内部の音が響き渡るという特徴があります。
一条工務店で注文住宅を設計する際、防音について調べ、実際に入居してみて、効果があった防音対策、効果が低かった防音対策をご紹介します。
この記事では、一条工務店の家で音が響く根本的な原因から、設計段階で取り入れるべき防音対策、そして入居後にできる簡単な対策まで徹底解説します。
設計時にしかできない防音対策を講じることで、入居後、長期間にわたって快適に過ごせるポイントになりますので、ぜひ最後までお読みください。
一条工務店の家で音が響く理由
一条工務店の家で音が響く現象は、高気密・高断熱という優れた性能が、音環境に影響を与えています。
高気密・高断熱住宅の特徴と音の関係
一条工務店の家で音が響くのは、その優れた気密性と断熱性が原因です。
- 気密性の高さが音を閉じ込める:気密性C値0.5以下であるがゆえに、外気の侵入を防ぐ一方で、室内で発生した音が外に逃げにくくなっています。
- 硬質な内装材が音を反射:断熱性能を高めるために使用される硬質な内装材や壁材は、音を吸収せずに反射させる性質があります。
- 吹き抜けなどの開放的な空間設計:開放感のある間取りは、音が広がりやすく反響しやすい環境を作ります。
高気密・高断熱は省エネ性能を高める重要な要素ですが、音環境については別途対策が必要です。
一条工務店の家でよくある音の悩み
一条工務店の家に住む方からは、以下のような音の悩みがよく聞かれます。
- 室内の反響音:話し声やテレビの音が壁に反射して響く
- 階段やフローリングの足音:特に2階の足音が1階に響きやすい
- 生活音の伝わりやすさ:トイレの音や洗濯機の振動が家全体に伝わる
- 防音性能の誤解:外部の音は聞こえにくいが、内部の音は響きやすい
それぞれ音が響く原因が違うので、次のセクションからは、場所ごとの対策を解説していきます。
音が響きやすい場所とシーン
一条工務店の家で特に音が響きやすい場所やシーンがあります。これらを理解することで、効果的な対策を講じることができます。家の中のどこで音の問題が発生しやすいのか、具体的に紹介します。
上下階の足音

1階と2階の間には、梁があり、エアコンや水道水の配管や、LANやコンセントを通すために空洞になっています。
2階の足音は、1階と2階の天井裏が太鼓の原理で反響し、伝わる原因になります。
そのため、空気の振動を少しでも抑えるために、空間を減らす(断熱材や防音材)という対策が必要です。
子供部屋や寝室の音漏れ
プライバシーが求められる子供部屋や寝室での音漏れは、家族の生活リズムに大きな影響を与えます。
- 音の特性:空気の振動であり、直進性がある
- 壁の遮音性能: 一般的な石膏ボード壁は遮音性能が限られており、隣室に音が漏れやすい
LDKでテレビをつけていると、子供部屋で勉強している子どもが集中できない、ということもあります。
音を減衰させるには、ドアの設置や吸音材を使い、空気の振動が減るような対策が必要です。
水回り(お風呂・トイレ)の音

水回りの音は特に気になりやすく、夜間のトイレ使用や早朝のシャワーが家族の睡眠を妨げることがあります。
- 配管音: 水の流れる音や配管を伝わる振動音
- 排水音: 特にトイレの排水音や浴室の排水音は大きく響く
- ドアの開閉音: 水回りの扉の開閉音も意外と家中に響く
数値で見ると、一般的なトイレの排水音は約70〜80dB(デシベル)で、これは掃除機や目覚まし時計の音量に匹敵します。深夜や早朝にこの音が響くと、睡眠中の家族を起こしてしまう可能性が高いのです。
次のセクションでは、特にこれらの対策について紹介していきます。
設計段階でできる防音対策
設計段階で防音対策を考慮しておくことが最も効果的です。後からの改修は費用も手間もかかるため、ここでは、設計時に検討すべき具体的な防音対策を紹介します。
間取りの工夫でできる防音
間取りの工夫は、追加コストをかけずに音の問題を軽減できる最も効率的な方法です。
- 音が出る部屋と静かな部屋を離す: リビングと寝室、子供部屋同士を可能な限り離して配置する
- 各部屋の入り口の向きを正面にしない:音が入る入口の向きを変えることで、壁などに音が吸音される
- 部屋間のドアの枚数を増やす:扉を設置することで、音が減退する
- 補強壁の追加:石膏ボードよりも防音性が高い
- トイレの裏はクローゼット:空間を設置することで防音対策に
ウチは、下の図面で全部入りの対策をしたところ大成功。音は全く気になりません!
・書斎の裏には補強壁。
・トイレの裏はクローゼットに。
・扉を1枚追加

天井裏や壁の断熱材・防音材で対策
断熱材は温熱環境だけでなく、音環境の改善にも役立ちます。一条工務店の標準仕様に追加することで、より効果的な防音対策が可能です。
- グラスウールの追加:天井裏や壁内に高密度グラスウール(24K〜32K)を充填することで吸音効果が高まる
- 遮音シートの設置:壁の内部に遮音シートを入れることで、音の透過を大幅に減らせる(約5〜10dBの遮音性能向上)
防音効果を数値で見ると、標準的な壁(石膏ボード12.5mm×2枚)の遮音性能が約35dBなのに対し、遮音シートと高密度グラスウールを追加した壁では約45dBまで向上します。これは会話の音が「はっきり聞こえる」レベルから「小さく聞こえる程度」に改善される差です。
グラスウールではなくセルロースファイバーにし、防震吊木を設置したかったのですが、一条工務店の許可は降りませんでした。
扉を増やして音を遮る方法

扉の選択と配置は、音の伝達を制御する重要な要素です。
- 防音ドアの採用: 特に音が気になる部屋(書斎や音楽室など)には防音性能の高いドアを選択する
- 二重ドアの設置: 廊下と部屋の間に前室を設け、二重にドアを設置することで音の伝達を大幅に減らせる
- ドアの気密性向上: ドア下部の隙間をなくすアンダーカットレスドアや、気密パッキン付きのドアを選ぶ
ドアを外してから、モヘアを設置してみました!

防音材の種類と特徴
防音対策を効果的に行うためには、防音材の種類と特徴を理解し、適切な場所に適切な防音対策を実施するようにしましょう。
吸音材と遮音材の違い
防音対策には「遮音」と「吸音」という2つの異なるアプローチがあります。
- 音を跳ね返して遮断する材料。音が外に漏れるのを防ぐ
- 代表例:石膏ボード、鉄板、遮音シート
- 特徴:重く密度が高いほど効果的
- 音を吸収して熱エネルギーに変換する材料。室内の反響音を抑える
- 代表例:グラスウール、ロックウール、ウレタンフォーム
- 特徴:繊維状やスポンジ状の多孔質構造
遮音材のみを使用すると音が跳ね返り、室内の音が響き渡ってかえってうるさく感じることがあります。特に防音室でない一般住宅では、遮音材と吸音材をバランスよく使うことが重要です。
繊維系断熱材の防音効果
繊維系断熱材は断熱効果だけでなく、優れた吸音性能も持っています。具体的に代表的な3種類を紹介します。
- 原料:ガラスを繊維状にした無機繊維系断熱材
- 防音効果:多孔質構造により中~高音域の音に対して優れた吸音性能を発揮(低音域(125Hz)では吸音効果が低下)
- 性能数値:グラスウール(24kg/㎥、100mm厚)を充填することで、遮音性能が等級D-25相当からD-30相当に向上
- 施工制限:水に弱いため防水対策が必要、隙間なく施工する技術が必要
- 原料:石を原料とした無機繊維系断熱材
- 性能数値:ロックウールを充填すると、無断熱より約5デシベル遮音性能が向上
- 周波数特性:人間が最も感じやすい音の周波数域(250Hz~2.0KHz)において優れた遮音性を発揮
- 特徴:細い繊維が絡み合った空間で音波を繊維の振動に変え、熱エネルギーに変換して消音
- 原料:新聞古紙などの紙からリサイクルされた木質繊維
- 構造:繊維内部に空気胞を持ち、繊維が絡み合って空気層を形成
- 防音効果:厚さ100mmと密度55kg/m³と他の断熱材より高く、優れた防音性能を発揮
- 性能数値:人間がよく聞こえる1000Hz帯域音では55dB(透過損失)の防音性能
発泡系断熱材の防音効果
発泡系断熱材も防音効果はありますが、繊維系と比べると相対的に効果は低めです。
- 構造:ポリオール、ポリイソシアネートを主成分とした連続気泡のセル構造
- 防音性能数値:厚さ25mmで吸音率0.1~0.3程度と繊維系に比べて低い
- 施工制限:一般的なスポンジは1年程度で表面が劣化する可能性あり
- 施工時期:吹き付けタイプは建築時のみ、シートタイプは後付け可能
- 特徴:水を吸わないので結露に強い
- 防音効果:中程度(500Hz帯域で透過損失約25dB)
- 周波数特性:高周波数域での遮音性能は良好だが、低周波数域では効果が限定的
- 施工時期:板状のため後付けも可能だが、効果を発揮するには壁内施工が理想的
- 特徴:耐水性があり気密性が高い
- 防音効果:コストが高いが防音性能は良好(1000Hz帯域で透過損失約35dB)
吸音パネル・シートの種類と効果
室内の音響環境改善には、施工が簡単な吸音パネルやシートも効果的です。
- 構造:ポリエステル製の繊維を高圧縮加工により高密度の板状に成型
- 効果:室内の音エネルギーを吸収し音の反響を減少
- 性能数値:厚さ9mmで中周波数域(500Hz)の吸音率0.4~0.6程度
- 特徴:壁面や床に使用することで騒音対策に効果を発揮
- 施工時期:後付け可能で、壁や天井に接着剤やピンで固定できる
- 構造:表面を波型やピラミッド形状に加工し吸音面積を増加
- 効果:吸音性能を向上させ、様々な方向からの音に対応
- 性能数値:ピラミッド型50mm厚で中高音域(1000Hz)の吸音率0.7~0.9
- 特徴:意匠性にも優れ、スタジオや店舗の内装に適している
- 施工時期: 入居後でも簡単に設置可能で、インテリアとしても活用できる
- 効果:発生した音を吸音機構により熱エネルギーに変換して吸収・軽減
- 性能数値:厚さ5mmで中周波数域の吸音率0.2~0.4程度
- 特徴:室内で発生して反響した音が外部に漏れるのを防ぐ
- 施工時期:後付け可能だが、床下に敷く場合は床材をはがす必要があり大掛かりな工事になる
入居後にできる防音対策
入居した後でも、音の響きを軽減する方法はあります。比較的簡単で費用をかけずにできる対策から、本格的なDIY対策まで紹介します。
家具やカーテンでできる簡単防音
家具やカーテンを工夫するだけでも、室内の音響環境は大きく改善できます。
- 防音カーテン:通常のカーテンより厚手で、遮音効果のある素材を活用
- 本棚や家具の配置:音が響きやすい壁に沿って本棚を置くと、本が吸音材の役割を果す
- ラグやカーペット:フローリングの上に敷くことで足音や物音を軽減
- ソファやクッション:布製の家具は音を吸収するため、多めに配置すると効果的
DIYでできる防音グッズの活用
より効果的な防音対策として、DIYで取り付けられる防音グッズもあります。
- 吸音パネル:壁や天井に貼り付けるだけで効果的。特に会話やテレビの音の反響を低減
- ドア下の隙間テープ:ドアの上下に隙間対策
- コルクボード:壁に貼るだけで吸音効果あり
DIY対策の中でも特に効果が高いのは吸音パネルで、壁面積の15~20%程度を覆うだけでも体感できるほどの効果があるので、ぜひ試してみてください。
まとめ:一条工務店の家で快適な音環境を実現するために
一条工務店の家は、高気密・高断熱のため、内部の音が逃げにくく、室内の音が響きやすいです。
ただし、諦めることはありません。間取りの工夫、適切な断熱材・防音材の選択、扉の配置などを計画的に行うことで対策可能です。
入居後でも、家具の配置や吸音パネルの設置など、比較的簡単にできる対策はあります。音の特性を理解し、快適な住まいづくりのために、ぜひこの記事で紹介した防音対策を参考にしてください。
間取り設計がほぼ固まってきたら、引き渡しまで、あっという間です!!
このあと、外構計画やフロアコーティングの検討など、まだまだやることが多いので、一覧にしてみました。ぜひ参考にしてみてください!
