誰もが老後は健康に暮らしたいと思いつつも、通院や買い物、ちょっとした不安は誰でも必ずあると思います。
親の心配や、自分の老後を考えると二世帯住宅という選択肢も考えられますが、二世帯住宅の口コミは失敗で溢れていて、本当に二世帯住宅にするべきかどうか悩んでいませんか?
実は、このブログで紹介する「必ずクリアすべき間取り設計のポイント」を抑えると、二世帯住宅の成功確率が非常に高まります。
なぜなら筆者も都内で35坪弱の土地に完全分離型・3階建ての二世帯住宅を建てたところ、親からも妻からも「二世帯にして良かった」と言ってもらえているからです。
この記事では二世帯住宅を成功させるために必要な4つのポイントを紹介し、その具体的な対策もご紹介します。
この記事を読み終えると、二世帯住宅を安心して建てようと思えると思います。
二世帯住宅が失敗する理由
二世帯住宅で不満で出てくるポイントは以下の点です。
- 自分たちのペースで生活できない(生活のリズム)
- 思ったより暗い(採光)
- 音が漏れる(プライバシー等)
- 自分たちだけ我慢している(隣の芝生は青く見える)
つまり、これらの問題点を解消する間取りづくりをすれば、大きな不満はなくなり、つまり満足感につながります。
なぜなら、パレート分析という理論では、問題点の上位2割を解消することで、対策は全体の了8割が完了していると言われています。
では、これらの解消方法をご紹介します。
完全分離型・3階建て
完全分離型
二世帯住宅には「完全分離型」「一部共有型」「完全同居型」の3パターンがあります。
筆者は絶対に「完全分離型」をオススメします。
完全分離型は「コストが高い」ことがデメリットとされていますが、我慢や不満を持ちながら生活すると、生活の質や、間接的には病気、もしかすると家を手放すことを考えると、トータルコストとしては一番安いとも言えます。
最も不満となる「生活のリズム」を「自分のペース」で過ごせることだけでストレス度合いは全く違います。
3階建てにできるのであれば、35坪で完全分離型の二世帯住宅が建築可能です。(北側斜線制限には気を付けてください)。
玄関も分離
既に強くお勧めしていますが「完全分離型」でなければ、同居の成功確率はグンと下がるでしょう。
時には玄関だけでもいっしょにすれば「ウォークインクローゼットが一つ増える」という誘惑もありますが、グッと我慢してください。
玄関が共有で靴が散らばっていると、「私たちばかりが掃除している」となりかねません。
荷物は断捨離でまとめて、「自分たちのペース」で生活できることを最優先にしましょう。
3階建て
35坪弱の土地であれば、左右型の完全分離型の二世帯住宅は難しいはずです。
結果的に上下階の完全分離型・二世帯住宅になります。
そして足腰を考えると1階が親世帯、2階・3階が子・孫世帯となるはずです。
<参考:35坪の土地>
- 駐車場1台、自転車2台、物置1台
- 親世帯:1階 60㎡
- 子・孫世帯:2階 60㎡+3階40㎡
親世帯が1階になる可能性が高く、1階は採光や上の階からの足音の問題が考えられます。
その問題の解決方法を紹介しましょう。
採光・照明
どんな家でも1階は、2階に比べ暗いものです。窓の大きさだけでなく、目の前の家の高さや窓のある方角にも影響します。そんなときにこそ照明にこだわりましょう。
パナソニックのあかりプラン
我が家は一条工務店で設計しましたが、お世辞にも照明には積極的な提案はありませんでした。(コストが安くなる提案しかありませんでした)
そのため、品川にあるパナソニック リビング ショウルーム 東京に予約をし、プランを作ってもらいました。視力の弱い親世帯のため、かなり明るめの設計にしました。
結果的に、採光を非常に気にしていた両親は「全く問題ない」と言ってくれるほど明るい設計ができました(調光付きにしたため、暗くもできます)

南側に窓があるからといっても、部屋の奥まで光は入ってきません。(我が家は南側に大きな掃き出し窓がありますが、リビングは明るいものの、奥にあるキッチンまでは届きません)。
しかし、照明を工夫することで、夜でも全く問題ない設計にしました。
音
子育て世帯なので、子供を叱ることもありますし、大きな音で映画を見たいこともあるでしょう。そんなとき親世帯に音が聞こえてしまうと気にしてしまうと、ストレスが少しずつ溜まってしまい、せっかくの新居が台無ししてしまうかもしれません。
気にすべき音は「足音などの重低音」と「テレビや会話の通常の音」です。
足音などの重低音対策
結果的に一条工務店では対応しきれません(2017年春設計時)。対策可能なことは「グラスウール充填オプション」を導入することですが、結果、効果はあまり感じられません。
没になった提案
- 1階と2階の間にセルローズファイバーを施工する
- 1階の天井に防振吊金具を施工する
未だにこの2つの提案が通っていたら、どんなに違っていたんだろうと思います。
また、階をまたぐ床は、当然、配管が通りますが、この「穴」の隙間が多いように思えました。

コレだけ隙間があったら響くだろう…とおもいます。
外と中の隙間は埋めるものの、フロアをまたぐ隙間は埋めていないので、音が漏れるのは当然です。ここも埋めてほしいと言ったら埋めてもらえるのでしょうか。。。
テレビや会話の通常の音
これに関しては結果的に成功したと感じています。その方法は2つ。
- 音は直進性があります。
- 音は空気の振動によって伝わります。
つまり、以下の対策が有効だったと考えられます。
- 階段の設置向きに気を付ける(音の先を180度の角度をつける)
- 出来る限り扉の枚数を多く設置する(我が家は3枚を隔てました)
また、3階へ上がる階段も、1階~2階の階段と違う向きに設置し、3階の通路には扉を設置したことで、1階⇔3階は頑張らないと音が届かないです。

2階リビングで耳が痛くなるくらいの音量を出しても、1階リビングでは聞こえません。
親世帯と子世帯の設備は同等品にする
設備にこだわるというのは、高級品を入れるということではなく、二世帯とも同等品を入れることにこだわる、ということです。
昔の人の言うことは当たっていることが多く、まさに「隣の芝生は青く見える」。お金だけでなく喧嘩やその後の対応に支払うことを考えると、トータルコストでは見合うのではないでしょうか。

もちろん使い勝手を考えて、安くても掃除がしやすかったり、気に入ったものがある分にはいいと思いますが、使わないからいらなくない?は、後で禍根を残します。
まとめ
2世帯住宅でうまくいっている話題はあまりみることがありませんが、コタロー家は以下のポイントを抑えて設計したため、間取りに関する不満は一切出ていません。
二世帯住宅の問題点 | 解消方法 |
自分たちのペースで生活できない(生活のリズム) | 完全分離型で解消 |
思ったより暗い(採光) | 照明計画で対応可能 |
音が漏れる(プライバシー等) | 階段の位置と向きを工夫 |
自分たちだけ我慢している(隣の芝生は青く見える) | キッチンやトイレは同等品の設備を入れる |
お嫁さんの親と同居する場合は言いたいことを言いすぎてケンカになりますし、ご主人の親と同居する場合は言いたいことも言いにくくて不満がでます。
間取りで解消できる不満は、逆に言うと建築後に対応は難しくなります。
ご紹介した4点は、どんな家庭の2世帯住宅であってもオススメです。
人生で最大の買い物を失敗しないよう、皆さんの二世帯住宅ライフの成功を願っています。